海外情勢

6月のG7サミット、陰の主役は中国 関係構築めぐり各国に温度差

 6月に英南部コーンウォールで開かれる先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)の準備が進む中、西側各国に対中問題をめぐる温度差が表面化してきた。G7を支える民主主義の価値観との対立は緊張をはらんでおり、中国政府による新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル族の扱いや香港での民主派締め付けに国際社会が厳しい目を向ける中、強硬派の日米英、カナダと穏健派の独仏伊との間で意見が分かれている。サミットに出席しない中国が今回の会議の陰の主役ともいえそうだ。

 3日間の準備会合

 先月後半、サミットに向けた準備会合をバーチャル形式で開いた際、中国にどう向き合うかが繰り返し取り上げられた。各国首脳の補佐役であるいわゆる「シェルパ」らによる2回目のサミット準備会合は3日間に及んだ。会合に参加した外交官によると、人権や貿易・気候変動をめぐる国際的な状況など議題は多岐にわたり多くのテーマで中国への言及があったという。

 いくつかの文脈の中で中国政府はパートナーもしくは競争相手、敵対国、あるいはその組み合わせだと見なされたと会合参加者の一人は説明。「要は世界2位の経済大国との関係の在り方に関し共通の立場を見いだすことが課題だ」と指摘した。別の参加者は「中国との競争が今後数世代の地政学を形成することになるため共通認識を確立することは重要だ」と強調した。

 ジョンソン英首相はいずれも中国との摩擦を抱えるインドとオーストラリア、韓国をG7サミットに招待。そうした中で欧州の一部政府高官はG7が反中同盟とみられることを警戒している。同じ主張は中国側も展開。経済・戦略的影響力を高めている中国が、不当に標的とされているというものだ。

 今年のG7議長国である英国の政府報道官によれば、シェルパ会合では新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)や健康問題への将来的な脅威、男女平等、気候変動対策などさまざまなテーマが取り上げられた。

 北米の当局者は、話し合われた議題の多くに触れる全般的な問題が中国だと語った。

 英政府がG7サミットでの成果の一つにしたいのが、中国との違いを明確にする「開かれた社会の声明」だ。

 日本の立ち位置は

 シェルパ会合を知る外交官によると、日米英とカナダは、この声明を民主主義と非民主主義体制のいびつな競争と見なす状況に明示的に対処する機会と見なしている。一方、そうした言葉遣いが中国側にあからさまな敵対意識と捉えられることを懸念するドイツとフランス、イタリアは、中国に対する建設的な姿勢を保ちながら民主主義の長所を訴えようと図る。

 日本政府は13日、菅義偉首相が15~18日の日程で訪米し、首都ワシントンで16日にバイデン大統領と会談すると発表した。菅政権で外交担当の内閣官房参与を務める宮家邦彦氏はインタビューで、過半数が中国をめぐり、より多くの懸念を表明する方向にあり、日本の立ち位置は中間辺りだとの見方を示した。

 韓国と豪州、インドと共に南アフリカ共和国も一部の会合に招待されており、G7の拡大グループはインド太平洋地域における緊張に言及したい考えだ。インドは国境地帯で中国と衝突し、南シナ海では領有権をめぐる対立が激化、中国は豪州からの輸入品に高関税を課し、中国人民解放軍機は繰り返し台湾の防空識別圏に侵入している。

 中国も加わる20カ国・地域(G20)の首脳会議を10月に開催するイタリアは特に強いジレンマに陥っている。

 中国を含むアジェンダをまとめようとしているが、G20の欧州各国はいずれもバランスを取るのが難しい問題だと見なしている。(ブルームバーグ Alberto Nardelli)

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