海外情勢

慰安婦資料で3年越しの日韓対立が決着 ユネスコ 「世界の記憶」制度改革を承認 (1/2ページ)

 【パリ=三井美奈】国連教育科学文化機関(ユネスコ)執行委員会は21日、全体会議で「世界の記憶」の新制度を承認した。加盟国が「政治利用」とみる申請案件の登録を阻止できるようになる。2015年に始まった制度改革は日韓の対立で難航し、日本の主張に沿った形で決着した。

 改革の遅れは、日本の反対で17年に審査が延期された「慰安婦関係資料」に起因する。

 15日、執行委の部分会合が全会一致で新制度を決めた際、韓国代表は、慰安婦関連資料は新制度の枠外にあると念を押し、関係者の対話継続を訴えた。日本は「新制度が決まった以上、趣旨を踏まえて扱うべき」と主張。日韓の応酬は、最後まで続いた。

 制度改革では18年に作業部会が設立され、翌年には加盟国が異議を唱えられる仕組みが固まった。異議が取り下げられない「係争案件」の扱いが、なかなか決まらなかった。日本は、係争案件を登録プロセスから外すよう要求。韓国は慰安婦関連資料が廃案になることを警戒し、反対した。結局、関係国の合意ができるまで、審査しないことになった。名目上、候補にとどめ、「お蔵入りにする」(外交筋)妥協策だ。

 関係者によると、「日本有利」の流れを決めたのは中国やロシアの支持だった。中国をめぐっては、人権団体が天安門事件資料の登録を目指す運動を展開しており、これに対する懸念が一因とみられている。

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