国内

「路上飲み」をどう抑えるか 要請は限界? ハロウィンのような条例規制必要?

 3回目の緊急事態宣言発令から1日で1週間を迎えた。対象地域では酒類を提供する飲食店などに休業要請が出され、屋外での「路上飲み」の光景がよくみられる。屋外でも新型コロナウイルスの感染リスクがあるとの研究結果も出ており、屋外だから安全というわけではない。東京都の小池百合子知事もコンビニエンスストアなどに注意喚起の協力を求める考えを示すなど、路上飲みをしないよう呼びかける。要請には限界があるなか、どう抑えるのか。(大渡美咲、本江希望、大森貴弘)

 「やりすぎだよ!」

 4月30日午後8時半の東京・渋谷。東京都や警視庁の職員らがJR渋谷駅前で路上飲みを控えるよう呼びかけた。付近には、路上飲みをする外国人の姿が多く見られ、ワインボトルを手にしていたり、注意した職員らに対し、「やりすぎだよ!」と詰め寄ったりしていた。

 近くのコンビニには「路上飲みは止めてください」と書かれたポスターが入り口やレジに貼られていた。コンビニを利用した東京都八王子市に住む男性会社員(25)は「ポスターには気づかなかった。路上飲みをすることはある。友達に誘われたら断れない」と打ち明けた。 

 宣言対象地域の京都市でも見回りのほか、市管理の公園923カ所で飲酒・飲食を禁じる看板を掲示。大阪府や兵庫県も、同様に対策を講じる。ただ、新型コロナウイルス特措法に基づく命令ではなく、呼びかけにとどまっており効果のほどは不透明だ。

 理化学研究所などの研究チームがスーパーコンピューター「富岳」で行ったシミュレーションによると、屋外では風の影響でより広範囲に飛沫(ひまつ)が拡散する可能性が高くなることが判明している。複数人での路上飲みではマスクを外しておしゃべりするため感染リスクも上がってくる。

 ハロウィンでは条例

 飲食店への営業時間短縮要請が続く中で増えてきた路上飲み。今回の緊急事態宣言以降、路上や公園などでの集団飲酒も注意喚起の対象と位置付けられた。過去には渋谷区がハロウィン期間中などに渋谷駅周辺の路上や公園での飲酒などを禁じる条例を制定。路上飲み対策に、こうした条例を当てはめるべきなのか。

 路上飲み対策について、小池氏は4月28日の記者会見で、ハロウィンの際の渋谷区の条例について触れた上で、「世界各国では公共の場での酒類の提供について厳しい国も多く、いろいろと分析している」と言及。さらに小池氏は「中長期的にはいろいろな方法や考え方などまとめて判断したい」と述べた。

 海外では、屋外での飲酒を厳しく規制する国も出ている。変異株の感染が拡大しているフランスでは、屋外の広場や通りなど人が集まる場所での飲酒が禁止された。韓国では、屋外の飲酒を取り締まる法律はないが、5人以上の私的な集まりを禁止した。

 新型コロナの感染拡大が続くなか、路上飲み対策に妙案はあるのか。若狭勝弁護士は「各区市町村が制定している路上喫煙禁止条例などがあり、自治体が路上飲みを禁止する条例を作り、罰則を科すことは可能だ」と指摘。ただ、「外での飲酒は花見などもあり、本来は自由なはずなので、罰則を付けて住民の権利を制限する形は望ましいとは思わない」と話した。

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