海外情勢

中国、消費主導経済実現には構造転換が不可欠

 中国の実質国内総生産(GDP)は、2020年1~3月期に新型コロナウイルス危機で落ち込んだものの、4~6月期には投資と輸出に牽引(けんいん)されて早速コロナ前の水準に回復した。しかし、消費がコロナ前に復したのは1期遅れの7~9月期であり、21年1~3月期にGDP全体を上回る回復を遂げたものの、電気自動車(EV)向け補助金などの政策支援により一時的に押し上げられた可能性がある。感染状況に応じて厳格なロックダウン(都市封鎖)が散発的に実施されていることから、サービス消費については飲食を中心に依然持ち直しが遅れており、中国の消費は安定的に回復を遂げたとは言いがたい。

 消費持ち直しの弱さは物価にも表れている。製造業の好調や国際市況の高騰などを背景に原材料価格が高騰し、3月の生産者物価は前年比4.4%と18年7月以来の高い伸びとなった。一方、食品、エネルギーを除いたコアの消費者物価は、わずかに上向いたものの、低い伸びにとどまる。消費の持ち直しが弱い中、企業は原材料価格の上昇を最終価格に十分転嫁できていないと考えられる。

 中国経済は、当面、輸出の好調などにより成長が期待されるが、世界的な財のペントアップ(繰り越し)需要や米国の経済対策の効果はいずれ落ち着くと予想されるほか、米欧との摩擦が強まる中、外需や海外からの技術導入の継続は難しくなるとみられる。コロナ禍前から取り組んできた消費主導経済の実現や国内での技術開発強化に向けて、改めて経済構造の転換が求められる。(日本政策投資銀行 経済調査室調査役・高田裕)(編集協力=日本政策投資銀行)

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