海外情勢

南北、止まらぬ軍備増強・近代化 対話訴える文政権ジレンマ

 南北の軍備競争が止まらない。北朝鮮の核・ミサイル戦力の高度化に対抗し、韓国は新型短距離弾道ミサイルを開発し、原子力潜水艦構想も浮上。文在寅(ムン・ジェイン)政権は対話を訴えながら、自国の国防力近代化が北朝鮮の核への執着を助長しかねないジレンマに陥っている。

 北朝鮮は3月25日、約1年ぶりに弾道ミサイルを日本海に発射した。バイデン米政権への牽制(けんせい)との見方が多いが、変則軌道を描く短距離「KN23」を改良、大型化した韓国攻撃用の新型とみられる。日韓は450キロ飛行したと直後に発表。実際にはレーダーの死角となる低高度をさらに飛行していた可能性があり、日本の防衛省は「分析を継続中」としている。

 文在寅大統領は昨年7月に韓国の国防科学研究所を訪問した際、「世界最高水準の弾頭重量を備えた弾道ミサイルの開発に成功した」と発言した。射程800キロで2トンの通常弾頭を搭載できる韓国の最新短距離弾道ミサイル「玄武4」を指すとみられる。

 北朝鮮は自国の新型は600キロ飛行し、弾頭重量2.5トンと主張。玄武4を意識した可能性が高い。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹、金与正(ヨジョン)党副部長は3月30日の談話で、文氏が北朝鮮の発射を非難したのは「非論理的で厚顔無恥」と反発した。

 金正恩氏は1月の党大会で戦術核の開発を表明した。韓国への核使用オプションを示唆するものだ。通常戦力での圧倒的劣勢を核で挽回しようとする焦りがうかがえる。

 「自主国防」を掲げる文政権下で韓国国防費は毎年平均7%のペースで増加。保守の朴槿恵(パク・クネ)前政権の4.1%をしのぐ。米国製のステルス戦闘機F35Aや無人機を調達。9日には国産の超音速戦闘機の試作機「KF21」を公開した。2033年を目標に「軽空母」の導入計画も進める。

 米軍が持つ韓国軍の有事作戦統制権の早期移管を目指していることや、「北朝鮮の顔色をうかがっている」との批判を封じる狙いが背景にある。しかし3年前の18年4月27日、南北首脳が板門店宣言でうたった「段階的軍縮」は有名無実化し、政権支持層からは「信頼醸成に逆行する」との批判が出る。

 一方、隣国の軍備増強に日本の防衛当局者は神経をとがらせる。日本政府は過去に韓国の弾道ミサイル射程延伸をめぐり、米国に水面下で懸念を伝えたこともある。

 韓国では北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に対処するために必要だとして原潜保有論も公然化。自衛隊関係者は「本当に北朝鮮だけを想定した戦力構成なのか」と疑心をのぞかせた。(北京、ソウル 共同)

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