海外情勢

ワクチン「特許除外」にドイツは反対、仏も疑問 米国とズレ

 【パリ=三井美奈】新型コロナウイルスワクチンを途上国に広げる目的で特許権保護の適用を除外することについて、ドイツ政府は6日、反対を表明した。独公共放送ドイチェ・ウェレが報じた。

 同放送によると、独政府報道官は「知的財産権の保護は、技術革新を生む源泉であり、今後も、そうであり続けねばならない」と発言。ワクチン供給を広げるためには、特許権の除外ではなく、生産能力と品質管理を高めることこそ重要だと述べ、特許権の一時放棄を支持した米国とは異なる立場を示した。

 一方、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は、特許放棄について「話し合う用意がある」と表明した。「短期的には全てのワクチン生産国は輸出を認め、供給を妨げる措置を避けるべき」とも述べた。米国が国内接種を優先し、ワクチンを輸出してこなかったことを念頭に置いた発言だ。フォンデアライエン氏は、EUが90カ国以上にワクチンを輸出したことを強調した。

 フランスのマクロン大統領は特許放棄に賛意を示したうえで、ワクチンの多くがメッセンジャーRNA(mRNA)という遺伝物資でできていることに触れ、「アフリカの製薬企業に知的財産を移転しても、ワクチンを製造できる設備がない」として効果に疑問を呈した。

 EUでは、ドイツのバイオ企業ビオンテックが、米製薬大手ファイザーとワクチンを共同開発している。

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