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除染効果「確認できず」会計検査院指摘 環境省の測定間隔が最長3年超

 東京電力福島第1原発事故後に環境省が福島県内で実施した除染の効果をめぐり、会計検査院が約56万カ所を調べたところ、除染の作業前と終了後に空間放射線量を測定した間隔が平均で245日、最長で3年超の1248日もあったことが26日、分かった。除染後の線量が除染前を上回ったのは約1万3千カ所だったが、下回った場所の多くも時間経過による自然減衰などで線量が低下した可能性があり、除染の効果といえるかが不明確という。

 除染は現在、帰還困難区域内で再び住民が住めるようにする「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」で続いている。検査院は環境省に対し、除染の効果を確認できるよう測定間隔を可能な限り一定にし、速やかに測定するよう求めた。

 除染は放射性物質に汚染された土壌を削り取るなどの作業。検査院によると、環境省が平成23年12月に公表したガイドラインでは、除染の効果を確かめるため、作業前に地表から高さ1メートルで線量を測定し、終了後にも同様に測定するよう規定。さらに終了から約半年~1年後に「事後モニタリング」を実施するとし、30年度まで続けてきた。

 検査院では、30年度までに国直轄の「除染特別地域」で事後モニタリングまで実施した延べ173万7742カ所のうち、56万1232カ所を調査。事後測定の線量が事前測定を上回ったのは1万2894カ所で、事後モニタリングの線量が事後測定を上回ったのは5万4カ所だった。環境省は雨や地形の影響による局地的な変動を原因に挙げたが、検査院は「除染の効果や維持が確認できない」と指摘した。

 さらに、線量は自然減衰や降雨による放射性物質の移動などでも低下することから、事前測定と事後測定の間隔を調べた結果、最大で1248日だったことが判明。平均は245日で、180日以上が全体の57・2%、1年以上は22・0%だった。

 環境省は取材に「除染は広範囲に及ぶため、当時はまとまった範囲で作業が終了した後に測定していた。復興拠点で進む現在の作業では、土壌を取り除いた時点でいったん測定し、さらに埋め戻した後にも測定するなど方法を改めている」としている。

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