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小田原かまぼこ御三家の一角が「GoTo特需」の直前に倒産してしまったワケ (2/2ページ)

 例年であれば、年末商戦用の自社ブランド品の製造に入る時期ですが、生産再開できるだけの資金的な余裕はもはや残されていませんでした。同時期には、事業譲渡に向けたスポンサー企業を水面下で探し求め、「かなり進んでいた話もあった」(会社関係者)ものの、結実しませんでした。長年、当社を支え続けた取引金融機関の協力も限界となり、10月2日、自社ホームページ上に「閉店のお知らせ」を公開。事後処理を弁護士に一任し、自己破産申請の準備に入りました。

 ■「Go To トラベル」東京追加翌日に破たん

 かまぼこの町・小田原で、老舗業者が倒産するのは、今回が初めてではありません。かまぼこメーカーとしては後発ながら、業歴400年を超える「美濃屋吉兵衛商店」が、2019年6月に破産したばかりでした。実は、当社と美濃屋には同業者以上の接点があったのです。市内の当社所有不動産を美濃屋が賃借し、本社を構えていたのです。

 経営多角化の失敗で躓いた美濃屋に対し、当社は本業一筋を貫いていました。しかし、業容拡大に伴い借入金が膨れあがり、長年経営を圧迫し続けた点は同じでした。年商を超える借入金ゆえ、コロナ禍の緊急時でさえ制度融資を受けられるだけの調達余力も残っていなかったのです。

 また、内部管理体制におけるガバナンスの甘さも酷似しています。当社の場合、20年もの間、経理担当役員による横領を看過し、自社の経営体力を奪う遠因となりました。そして、地元の観光需要に左右されるビジネスモデルも共通しています。足下のコロナ禍だけでなく、2019年10月の台風19号、大涌谷の噴火警戒レベル引き上げなどで、箱根や小田原の観光需要が落ち込むたびに販売減を強いられてきました。

 2020年10月1日、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の対象に東京発着旅行が追加されました。初めての週末を迎えた3、4日、箱根地区も多くの観光客でにぎわっていました。「たら」「れば」をいっても仕方ありませんが、この追加決定がもう少し早く行われていれば、最大のかきいれどきである年末商戦を前に、150年を超える歴史に幕を下ろす最悪の事態は避けられたのかもしれません。

 

 帝国データバンク 情報部

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 (帝国データバンク 情報部)(PRESIDENT Online)

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