海外情勢

北、新型コロナワクチン状況監視に難色 COVAXの供給見通し立たず

 北朝鮮が新型コロナウイルスワクチン供給を準備している国際枠組み「COVAX(コバックス)」に対し、接種状況のモニタリング(監視)受け入れに難色を示し、具体的な供給時期の見通しが立たずにいることが分かった。複数の外交筋が明らかにした。北朝鮮がコロナ対策として昨年1月末から続けている国境封鎖の長期化は必至だ。

 北朝鮮は感染者は一人もいないとする一方、途上国にもワクチン供給を目指すCOVAXに支援を申請。COVAXは当初、英アストラゼネカのワクチン170万回分を5月末までに供給する計画だったが、今年後半に延期した。ライセンス製造するインドが自国での感染拡大を受けて輸出を制限したことに加え、北朝鮮自身の対応が壁となっている。

 COVAXは供給条件として、ワクチン接種が適切に行われているかを確認するためのモニタリング要員の受け入れを求めているが、北朝鮮は自国民の入国さえ認めていない。接種対象者など詳細な計画も示さずにいるといい、北京の外交筋は「COVAX側が折れてモニタリングなしの供給に応じるのを待っているのではないか」と語る。

 感染者ゼロとの北朝鮮の報告には懐疑的な見方が多いが、徹底した移動制限や隔離により首都平壌(ピョンヤン)などでの蔓延(まんえん)は防いでいるとみられている。状況が悪化すれば中国製ワクチンを導入するとの臆測もある。

 朝鮮労働党機関紙、労働新聞は5月に入り「ウイルスが変異を続け、ワクチンを接種している国でも目立った効果を得られずにいる」などと伝え、副反応で死者が出ているとも指摘。コロナ禍の長期化は「不可避の現実」だと強調している。

 別の外交筋は「国境封鎖は国民の統制を強化する上でも好都合だ。ワクチンと関係なく封鎖は続くだろう」と予測した。(北京 共同)

【用語解説】北朝鮮の新型コロナ対策 医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な北朝鮮は隣国中国で新型コロナウイルス感染拡大が明らかになった昨年1月末、国境を封鎖。人の往来を原則遮断し、貿易は激減した。国内でも移動を厳しく制限、疑わしい症状があればすぐに隔離する措置を取っている。国家科学技術委員会は昨年7月、国内でワクチン候補が開発され、臨床試験を始めたと発表したが、その後の進展は不明。世界保健機関(WHO)への報告では、今年5月6日までに計2万6720人にPCR検査を実施し、陽性反応は一人もいなかったとしている。(北京 共同)

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