海外情勢

元高抑制へ追加措置も 中国当局、外貨準備率で一段の引き上げ圧力

 中国人民銀行(中央銀行)は外国為替市場への直接介入をやめたものの、人民元の相場管理で旧来からある手段に戻りつつある。

 ◆3年ぶり高値近づく

 人民銀は5月31日、市中銀行の外貨預金準備率を6月15日に2%引き上げ7%にすると発表した。人民元上昇の抑制が狙いとみられるが、外貨預金準備率の引き上げは2007年以来となる。

 人民銀が目指しているのは、元自由化と世界で元使用を促進する計画を頓挫させずに、人民元の投機を抑えることだ。直接介入の恐れがなくなり、一方向に相場が動くと見越した取引があおられる可能性はある。

 人民元は対ドルで3年ぶりの高値に近づいている。最近の元高要因が続いていることから、人民銀は元高ペースを鈍らせるため追加措置を講じるよう圧力にさられそうだ。人民元は通貨バスケットに対しても16年以来の高値水準に迫っている。

 「人民銀は元相場をもっとマーケット要因に基づくようにしたいと望んでいる一方で、激しい一方向の値上がりも見たくないと考えている」とマッコーリー・グループの中国経済責任者、胡偉俊氏は指摘する。

 ◆相場管理の手段4つ

 人民銀が元上昇の勢いを弱めたい場合、主な手段は(1)ドル保有(2)元のデリバティブ(3)資本流出(4)中心レート-の4つある。

 1つ目の手段はドル保有だ。外貨の預金準備率は再び引き上げられる可能性がある。7%でも人民元の12.5%を大きく下回っているためだ。人民銀はまた市中銀行が人民元の預金準備と外貨を交換することを認めたり、外貨預金の金利引き上げを促したりし、ドル保有の魅力を高めることもできる。

 2つ目は元のデリバティブ(金融派生商品)の活用にある。人民銀は元上昇を見越した投機的な取引に税金を課すことも可能だ。デリバティブ取引で元高に賭けるコストを高くすることは1つのやり方だ。人民銀は昨年10月、元高抑制を狙い元ショート(売り持ち)のコストを引き下げた。

 資本流出を図るのが3つ目の手段だ。中国は資本勘定で流出を制限しながら、流入を奨励するという偏った管理をしており、需要が人民元に向かっている。中国政府は最近数カ月、本土外証券への投資枠を拡大し、資本流出を増やす措置を講じたがそれ以外にも取り得る手段は数多くある。

 中国本土と香港の債券取引をつなぐ「ボンドコネクト」は7月にも拡大され、本土の投資家が香港で本土外の債券購入をできるようになる。中信証券の香港部門はボンドコネクト拡大に関連し、中国政府は本土住民に年5万ドル(約548万円)の外貨両替枠より多くの債券購入を認める可能性があると予想した。

 4つ目は元の中心レートで、人民銀が元相場を誘導する最も簡単な手段は毎営業日の現地時間午前9時15分(日本時間同10時15分)に発表する中心レートにある。人民元の許容変動幅は中心レートから上下2%。15年の人民元切り下げは中心レートの大幅引き下げだった。(ブルームバーグ Tian Chen、Sofia Horta e Costa)

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