海外情勢

米ゼロ金利を前倒し解除 FOMC、23年末までに利上げ2回見通し

 米連邦公開市場委員会(FOMC)は16日の会合後の声明で、事実上のゼロ金利政策の解除が前倒しされるとの見通しを示した。同日記者会見したパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は米国債などの購入を通し実施している量的金融緩和策の規模縮小の検討に着手すると表明した。想定を上回る米経済の回復ペースに軌道修正を迫られた形だ。

 量的緩和縮小も検討

 FOMCは主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0~0.25%に据え置くとともに、量的緩和の規模を月額1200億ドル(約13兆2000億円)に据え置くことを決めた。一方で、利上げについては2023年末までに2回を見込んでいることを示唆し、「24年以降」としていた利上げ開始時期が前倒しされる可能性が示された。

 パウエル議長は声明発表後の記者会見で、量的緩和の規模縮小について当局者らが議論を始めることを明らかにした。議長は「米経済は明らかに進展した」とし、量的緩和のテーパリング(段階的縮小)にも触れ「今回の会合は議論することについて議論する会合だという考え方も可能だ」と話した。

 声明と同時に公表された四半期ごとの経済予測では、FOMC参加者18人のうち13人が23年末までに少なくとも1回の利上げがあると予想。こうした予想を示したのは3月時点では7人だった。また11人は、同年末までに少なくとも2回利上げがあると予想。また早ければ22年中に利上げがあると見込んだ参加者は7人おり、前回の4人から増えた。

 パウエル議長は金利予測分布図(ドット・プロット)について、「ドットは大きく割り引いて捉えるべきだ」と発言。利上げに関する議論をするのは「極めて時期尚早だ」と述べた。

 FOMCは、23年末までのインフレ予想を上方修正。物価指標の個人消費支出(PCE)価格指数に関しては、21年に3.4%上昇すると予想。3月時点での予想は2.4%上昇だった。22年については2.1%上昇(3月時点では2%上昇)、23年は2.2%上昇(同2.1%上昇)に予想が引き上げられた。

 パウエル議長は「経済活動の再開が続くとともに、需要の変化は大きく急速なものになり得る。そしてボトルネックや人材採用における困難といった制約は、供給の適応ペースを今後も制限する恐れがあり、インフレがわれわれの予想より高く根強いものになる可能性を高める」と説明した。

 GDPは今年7%増

 FOMC参加者の経済予測によれば、失業率は今年10~12月期に中央値で4.5%と、3月時点の予想から変わらず。22年10~12月期の予想は3.8%(3月予想は3.9%)に引き下げられた。23年の予想は3.5%で前回から変わらず。

 パウエル議長は記者団に「極めて力強い労働市場に向かいつつあると確信する」と述べるとともに、「米国史上最長となった前回の極めて長い景気拡大の過程でわれわれは、労働供給が長期拡大局面で予想を超え得ることを学んだ」と語った。

 国内総生産(GDP)については今年7%増を予想し、前回の6.5%増予想から上方修正。22年は3.3%増の予想を維持、23年は2.4%増(前回2.2%増)に引き上げられた。

 ピクテ・ウェルス・マネジメントの米国担当シニアエコノミスト、トーマス・コスターグ氏は金利予測について「タカ派寄りのサプライズだ。FOMCはワクチン接種のスピードとソーシャルディスタンス(社会的距離)の措置解除が続いていることに、良い意味で驚いているようだ」と述べた。

 マクロポリシー・パースペクティブズの創設パートナー、ジュリア・コロナド氏は当局者について、「会合前のコメントに比べ、インフレ上振れのリスクへの懸念を大幅に強めている。彼らは心配しており、それに対処したいと望んでいる」との分析を示した。(ブルームバーグ Matthew Boesler)

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