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政権奪取の気迫に欠けていた不信任案? 立民・枝野氏、世論に遠慮

 立憲民主党の枝野幸男代表は、15日に提出した菅義偉(すが・よしひで)内閣に対する不信任決議案に政権奪取への思いを託した。ただ、提出に至るまでは「新型コロナウイルス禍で政局を優先している」との世論の反発に遠慮して発言が迷走。この日の演説には衆院選を前に政権担当能力をアピールする狙いがあったが、優柔不断に見えた態度は有権者に迫力不足の印象を与えかねない。

 枝野氏は衆院本会議で約1時間半にわたり不信任案の趣旨弁明演説を行い、「(自らを首相とした)新しい政権では」と前置きし、コロナ対策などの政策を訴えた。不信任案が反対多数で否決された後、演説について記者団に「(衆院選後に新首相を指名する)特別国会で所信表明として申し上げる内容を、一部先行して申し上げた」とうそぶいたが、提出までの発言は慎重だった。

 枝野氏は春先以降、不信任案を会期末に提出する方向で検討を進めてきた。立候補予定者の擁立は春までに大きく進み、他の野党との候補者一本化のメドも立った。秋になればワクチン接種の進展が見込まれ、与党に有利に働く。野党内では「解散は早いほうがいい」との意見が強まった。

 それでも、「コロナ禍なのに衆院選で政治空白を生じさせるのか」との批判を気にして、多くの立民幹部が提出論を躊躇(ちゅうちょ)。枝野氏も5月には「現状では提出できない」と発言していた。

 その一方で、提出した場合の批判に備えた予防線を何重にも張りめぐらせた。今月9日の党首討論で「解散・総選挙が行われても1カ月半ほどで国会が開く。国会を閉じればパラリンピック後までその2倍以上の政治空白を作る」との論法を展開した。

 14日の野党4党の党首会談では提出を正式決定したものの解散には言及しなかった。会談後、記者団に解散について問われても「日本の憲法慣習法では(首相の裁量による)『7条解散』は内閣の専権事項。私はコメントする立場にない」と述べるにとどめた。

 不信任案を受けて衆院が解散されてもそれは首相の判断だ-と主張したかったようだが、政権交代をするなら不信任案を出して衆院を解散させ、選挙で勝利するしかない。発言を伝え聞いた国民民主党の幹部は「全く気迫がない」と絶句し、立民ベテランは「慎重な枝野氏らしいが、あれこれ言って弱気な印象を与えた」と評した。(田中一世)

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