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コロナ対策で失敗か 正念場の沖縄・玉城県政 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が2カ月近くも続く沖縄県で、玉城デニー知事の求心力が急速に低下している。政府に宣言解除を要請しても認められず、県内経済界からは「知事の発信力が弱く、県の窮状が国に伝わらない」との批判も。県立病院で発生した大規模クラスター(感染者集団)をめぐる県の不手際も重なり、知事を支える「オール沖縄」勢力からも不満が漏れる事態となっている。

 退けられた要請

 「県と国とのコミュニケーションが十分にとれていたら、こんな事態にはならなかった」

 県内経済団体の幹部が嘆息する。

 沖縄では5月の大型連休後に感染状況が悪化し、1日あたりの新規感染者数が一時300人を超えたが、6月後半から2桁台で推移するなど最悪の状況を脱したとみられていた。

 だが、今月7日に衝撃が走る。その日、県の新型コロナ対策本部は11日に期限を迎えるはずだった緊急事態宣言を延長せず、蔓延(まんえん)防止等重点措置に移行する方針を決定。玉城氏が西村康稔経済再生相に電話し、宣言解除を要請した。

 しかし数時間後、政府は県の方針を退け、医療提供体制が依然として逼迫(ひっぱく)しているなどとして8月22日までの宣言延長を決断する。それを玉城氏は報道で知った。西村氏からは何の連絡もなかった。

 「なぜ事前に県の方針を国と調整しなかったのか、あるいはできなかったのか。すでに県内観光業と飲食業は我慢の限界であり、1カ月以上も宣言が延長されれば廃業や閉店がさらに増える」と、経済団体幹部は憤る。

 調整できなかったのは、これが最初ではない。

 沖縄に緊急事態宣言が発令されたのは5月23日。当初の期間は6月20日までだったが、医療提供体制がなかなか改善せず、県は同月16日、宣言の2週間延長を政府に要請した。

 ところが、政府が下した判断は県の要請より1週間長い、3週間延長だった。

 県のコロナ対策専門家会議の委員は「県経済が疲弊しているうえ、県民にコロナ疲れがみられ、2週間以上の延長はむしろ逆効果だと思っていた。国の決定は意外だった」と振り返る。

 コロナ禍の観光PR

 なぜ、国は二度にわたり県の要請を聞き入れなかったのか。

 自民党県連の幹部は「県のコロナ対策は失敗の繰り返しで、国から信用されていない」と指摘し、3つの失敗例を挙げる。

 一つは3月下旬、県が観光客向けに出した一面カラーの新聞広告だ。「新しいおもてなしの沖縄へ」と記され、玉城氏と専門家会議の高山義浩委員が交互に県のコロナ対策を説明する内容になっている。

 沖縄では当時、1日あたりの新規感染者数が70~90人超となり、急拡大する傾向をみせていた。そんな中での新聞広告。県は「来県者に感染防止対策を呼びかけるのが主な目的」と説明するが、観光PRと受け止められ、県議会で批判が相次いだ。

 二つ目は、5月の大型連休を含む感染拡大期に、飲食店における酒類の提供を停止しなかったこと。

 沖縄は4月12日から蔓延防止等重点措置の対象となり、飲食店などで一層の時短営業の措置がとられた。その際、政府は酒類提供の停止が感染防止の有効策になるとしたが、県は経済界に配慮し、厳しい対策に踏み切らなかった。

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