国内

野党、政権の「打開策なき衆院選」へ追い込み図る

 次期衆院選の時期をめぐって自民党内で「党総裁選を先行実施し、衆院選を後回しにすべきだ」との政権浮揚策が持ち上がっていることに対し、立憲民主党など野党が「憲政の常道の逸脱」と批判を強め、衆院議員任期満了日の10月21日までに衆院選を行うよう求めている。野党側は自民内の動きを牽制(けんせい)し、菅義偉(すが・よしひで)政権に支持率低迷の打開策がない状況のままで衆院選に追い込みたい考えだ。

 立民の枝野幸男代表は18日の記者会見で「任期がはっきりしている以上、任期満了前に衆院選を行うのが政府与党の責任だ」と強調した。共産党の志位和夫委員長も19日の記者会見で「憲法で任期4年と決まっており、任期内に選挙が行われるのが基本」と語った。国民民主党の玉木雄一郎代表は「(任期満了直前の日曜の)10月17日を投票日と与野党で決めたらどうか」と具体的な日程を挙げた。

 菅政権の新型コロナウイルス対応に有権者の不満が高まっている現状で衆院選を行えば自民が40~50議席以上減らし、立民などが議席を伸ばすとの観測が強まっている。こうした中、自民内で浮上したのが総裁選先行論。総裁選の論戦への注目やその後の内閣改造により支持率が回復するとの期待がある。衆院選まで期間を置けばワクチン接種が進み、政権を取り巻く環境が改善する可能性もある。

 ただ、衆院選投開票は任期満了に間に合わない公算が大きい。総裁選は「9月17日告示-29日投開票」が有力で、その直後に衆院を解散しても投開票まで通例では30日近く要するからだ。任期満了以降の投開票は公職選挙法上可能だが、衆院事務局によれば前例はない。立民の安住淳国対委員長は「引き延ばし工作をし、状況が自分たちに有利になるのを見計らうというのは卑しい」と牽制する。

 任期満了前に衆院選を行うならば「緊急事態宣言明けの9月13日から総裁選告示とみられる17日までの間に衆院を解散し、10月10日か17日に投開票」との日程が想定される。枝野氏は17日、国会内で開いた野党4党首らの集会で、衆院選までの政治日程を早期に確定するため「首相から党首会談の呼びかけがあれば、積極的に対応する」と強調した。(田中一世)

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