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アメリカや台湾とは大違い…日本の各地でいまだにFAXが使われている本当の理由 (2/3ページ)

 【竹中】災害時のインフラになるわけですね。もちろん教育がデジタル化することで次世代が自然にデジタル前提で育つってこともあるでしょうし。

 【村井】そう。これは妄想だけど、さまざまな情報を入手できるように小・中学校には光回線を引いて、5Gのアンテナを全部の学校に立てさせる。100%の学校に。そのために国も、民間も、お父さんもお母さんも、子供たちもみんなで頑張る。アメリカのクリントン政権時代に、お父さんとお母さんが自分の子供たちの学校に行って、ネズミのシッポに糸をつけて屋根裏に逃して反対側にチーズを置いて食べたところを捕まえて、その糸を使ってインターネットのケーブルを引いたという話がある。

 【竹中】初めて聞きましたよ。そんなふうにしてケーブルを引いていたんですか(笑)。

 【村井】そうらしい(笑)。1993年のクリントン政権発足後にゴア副大統領が「情報スーパーハイウェイ構想」を打ち出したんだけど、いつの間にか民間が中心になって整備が進んでいった。つまり、インターネットが必要だということで地元の人たちがみんなで力を合わせて「小学校をネットにつなげよう」って盛り上がったの。それで、短期間で全国的に整備された。

 【竹中】そうだったんですね。村井さんが東京工業大学の大学院でケーブルを埃まみれになりながら通した話は聞いたことありましたが。

 【村井】だから、日本も短期間に全国の小中学校に光回線を引いて、5Gのアンテナを立てて、10ギガバイト(GB)をつなぐためには、「災害時に必要になる」ということを説明して地元の人たちに協力をお願いするんだ。

 【竹中】はい。

 【村井】それで、「スピードテストで10ギガbps出なかったら、小学校失格」みたいなガイドラインを作る。

 【竹中】10ギガbps出なかったら、校長先生のせいになる(笑)。

 【村井】「それを3年以内にやってください」って言ったら、みんなすぐに始めて「2年でできちゃいました」みたいなことになると思う。

 【竹中】学校は必死でやるでしょうね。

 【村井】そして、大地震などの災害が起こった時には、小中学校の避難所には必ずバッテリーのバックアップシステム(自家発電など)があるようにするとかね。これはお金がかかるかもしれないけれど、それくらいやらないと意味がない。その予算を取るためにデジタル庁が必要なわけ。全国の小中学校が10ギガでつながって、子供たちがコンピュータをバリバリ使うようになったら、10年後、その子供たちは日本を支える力になる。

 【竹中】絶対になりますね。

 【村井】それをやったら、菅首相は歴史に残る人になると思うよ。

 【竹中】日本の将来に投資をした首相ということになりますからね。

 【村井】今回の新型コロナの拡大で、陽性者の把握など「日本のデジタル対応は20年遅れている」ってさんざん叩かれたんだよ。そのことについて確かに俺は戦犯なのかもしれない。でも、インターネットのインフラに関してはボロくなかったんだ。叩かれたのは行政サービスの部分。そこがおかしいって国民が気づいてくれたから、役所や学校などの機能を直すことに関しては国民の支持が得られると思う。

 【竹中】そうですね。「教育」と「医療」のデジタル化は、ぜひ、進めてほしいです。

 ■日本はFAXに翻弄され、アメリカは1日で失業給付金を支給した

 【竹中】新型コロナウイルス対策では、台湾がいち早くデジタルソリューションを使って封じ込めに成功しましたよね。

 【村井】日本でそれができなかった理由のひとつは、基礎自治体のデジタル化が進んでいなかったから。どの地区で何人の陽性者が出たのかを把握するのは保健所の役割でしょ。でも、その報告がFAXだったんだよ。医療機関から保健所へも、保健所から各地方自治体へも。

 【竹中】いろいろと報道されて、批判されていましたよね。

 【村井】そして、そのFAXの書類が東京都にドンと送られてきたから、担当部署はパンクしてしまった。だから、オンラインで情報を送ってもらおうとしても、それができる状態ではなかったみたい。それで、仕方なくFAXの受付を30倍くらいに増やして、人海戦術でデータを打ち込んでいたらしいよ。こういうのもデジタル化が進んでいないからだよね。

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