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インフレ高騰なら中銀が「行動」 国際課税100年ぶり改革、G20財務・中銀会議

 【ワシントン=塩原永久】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が13日午後(日本時間14日未明)、米首都ワシントンで開かれ、同日中に共同声明を採択して閉幕した。巨大IT企業などによる税逃れを防ぐ経済協力開発機構(OECD)の国際課税ルール改革について、閣僚レベルで政治的に最終合意。供給網の混乱などに伴うインフレ急伸に注意を払い、各国の中銀が「必要なら行動する」方針で一致した。

 日本から日銀の黒田東彦総裁と神田真人財務官が出席した。国際課税改革について、会合後に記者会見した黒田氏は「100年に一度の大改正。歴史的な合意だ」と話した。

 国際課税改革はOECD会合で8日に136カ国・地域が最終合意していた。企業を誘致したい国々による法人税率の引き下げ競争に歯止めをかけるため、15%の国際的な最低税率を導入。米グーグルなど「GAFA」と呼ばれる米巨大IT企業に対し、自国内に事業拠点が置かれていない国でも徴税できるようにするデジタル課税を創設する。

 共同声明は「より安定的で公正な課税制度が確立する」と指摘し、OECDで計画が示された2023年の実施方針を確認した。

 世界経済の現状に関する議論は「物価上昇の動向が焦点になった」(議長国イタリアのビスコ中銀総裁)。供給網の混乱や、エネルギー価格高騰にともなう「一時的なインフレだ」との見方を参加国が共有した一方、物価安定を損なうような継続的な物価上昇に発展すれば、中銀が金融政策を用いて対処するとした。

 世界経済は堅調な回復が続いているが、新型コロナウイルスの変異株拡大や、先進国と途上国のワクチン普及格差などによる「下方リスク」があると警戒。G20各国が「時期尚早なコロナ支援策の引き揚げ」を回避することを確認した。

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