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和歌山の断水、入浴難の市民支えた“まちの銭湯” 

 和歌山市の紀の川に架かる「六十谷(むそた)水管橋」が崩落し、市北部で大規模な断水が発生した問題。入浴に困る市民を支えたのは、市内で断水を免れた地域にある“まちの銭湯”だった。突然の断水で殺到する客に戸惑いながらも、普段より営業時間を延長するなどして柔軟に対応。利用した市民からは感謝の声が聞かれた。   

 「(断水後)少なくとも普段の3倍以上はお客さんが来ました」。そう話すのは、昭和31年創業の老舗銭湯「幸福湯」(北休賀町)の4代目店主、中本有香さん(28)だ。

 崩落を機に、橋が架かる紀の川より北の市域で約6万世帯約13万8千人が断水に見舞われた。

 幸福湯は昔ながらの銭湯として地域の人々に愛されており、今回は幸い断水を免れた。

 中本さんによると、橋が崩落した3日の夜から、断水地域で入浴ができない市民とみられる客が姿をみせ始めた。その後、混雑してきたため、客に一時外で待機してもらうことも。

 突然の事態に戸惑いながらも、中本さんは「少しでも多くの人に気持ちよく利用してもらおう」と考え、客の回転率を上げるために長時間利用の多いサウナの利用を止めたり、午後11時半終了の営業時間を、待っている客がいれば延長したりと、柔軟に対応した。

 生活用水などで困る市民には、店先にある水道を開放。普段は収容数18台の駐車場も、周辺の飲食店などの協力も得て、さらに最大で約20台分確保した。

 銭湯周辺の渋滞を避けるため、スタッフらと協力し車の誘導もした中本さん。「このような大変な事態。できるだけ多くの困っている方々のお役に立てれば」と話した。

 こうした営業努力に、利用者からは感謝の声が上がった。

 市内の無職、川畑伸男さん(73)は、今回の断水について「和歌山に50年住んでいるが、こんな断水は初めて」と話し、「(自宅から)車で20分くらいはかかるが、ここの銭湯は水がきれい。本当に助かる」と感謝した。

 市内の主婦、小川久美子さん(46)は、自宅が断水で生活用水を浴槽にためるなどしたため入浴できず、訪れた。銭湯に併設されているコインランドリーも利用。「こうした銭湯の存在はありがたく思う。また来ようと思います」と笑顔をみせた。

   ×   ×

 同様の混雑は、幸福湯の北西約600メートルの銭湯「山吹温泉」(山吹丁)でも起きていた。

 創業60年以上の老舗で、今年7月に改修を終えてリニューアルオープンしたばかりだった。

 店主の坂口文啓さん(64)は「(崩落直後の)最初のうちは(「営業していますか」などの)問い合わせが500件から600件はあって、大変だった」と振り返る。

 一時は待機する客も出たが、「待っている人がいれば(営業時間を)少し延長して柔軟に対応しました」と坂口さん。「(断水ではなく)平和にもうけさせてもらえるのが一番」と話した。

 家族で利用した市内の主婦(36)は「値段も安いし、こうしたまちの銭湯はありがたく思う」と喜んでいた。(藤崎真生)

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