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衆院選候補者8割がSNS駆使…複数利用で各世代に訴え

 衆院選は31日の投開票が迫り、各候補者の陣営は追い込みを図っている。今回の選挙戦は新型コロナウイルス禍の影響もあり、会員制交流サイト(SNS)を中心としたインターネット上での選挙活動が活発になった。対面での選挙活動が制限されてきたなか、各陣営はさまざまな工夫を凝らしている。

 陣営手応え

 「私もユーチューブを始めました。ユーチューバーになりました!」

 22日午前、神奈川県内の選挙区から立候補した新人候補が、駅前で自身のSNSをアピールしていた。演説に耳を傾けていた30代女性は「候補者全員の演説を聞く時間はない。誰に投票しようか、各候補者のホームページやSNSを見て決めるつもり」と話す。

 この候補者は、今回の衆院選で動画投稿サイト「ユーチューブ」に自身のチャンネルを開設。陣営がスマートフォンで撮影した街頭演説の様子や、自己紹介動画などを配信している。公示後、外交や安全保障に関する考えを主張する2分ほどの動画をツイッターに投稿したところ、動画が保守層らを中心に広く拡散され、再生回数は7万回近くにもなった。

 陣営の担当者によると、公示日から約1週間でフォロワーは3倍以上に増加。陣営はSNS戦略に手応えを感じているという。担当者は「とにかく動いている、考えている政治家なんだということをSNSはリアルタイムで発信できる。存在感を示すことができたら」と語る。

 今回の衆院選で主要なSNSを活用している候補者は全体の8割にものぼる。選挙情報サイト「選挙ドットコム」の調査によると、衆院選に立候補した1051人のうち、選挙活動にツイッターを使っている候補者は全体の81%、フェイスブック(FB)利用者も同じ81%だった。

 同サイトは独自に全ての候補者のアカウントを調べ、事務所などに確認。動画を中心としたSNSは特に大幅な利用者増加が見られたといい、令和元年の参院選と比べても、ユーチューブは60%で12ポイント増、写真共有アプリ「インスタグラム」は51%で17ポイント増だった(いずれも21日時点)。

 担当者は「インスタは若者、FBは少し上の世代など、SNSごとに見ている世代が異なる。全てのSNSを使うことで幅広い層に支持を訴えるのが、最近の選挙のスタンダードになりつつある」と分析する。

 会合・集会難しく

 選挙活動でSNS利用が拡大した背景には、コロナ禍も関係しているとみられる。感染拡大の影響で地域の会合や集会は開催が難しくなり、従来の選挙活動ができないかつてない状況に陣営は頭を悩ませてきた。

 「ネットでの人気が必ずしも票につながるのかは分からない」との見方もある。東京都内の元職候補の陣営は、以前からSNSでの発信に力を入れており、有権者らから多くの反響があるという。だが、小選挙区で当選した経験はない。

 「SNSで盛り上がっていても、どの程度票を集められるのかは見通せない。でも、SNSがなければつながれない人がいるのも事実。街頭演説とSNSを相まって展開していくことが今後の選挙戦に不可欠ではないのか」と指摘した。

(浅上あゆみ)

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