国内

石油備蓄放出、産油国と消費国の主導権争いに発展も

 原油価格高騰の抑制を狙い、日米などが石油備蓄の協調放出に乗り出す。過去の協調放出では価格押し下げ効果が一時的だったこともあり、識者の間では相場への影響は限られるとの見方も多い。一方、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は原油の大幅な追加増産には慎重姿勢だが、市場では今回の協調放出を牽(けん)制(せい)する形で現行の増産計画を見直すとの観測も浮上し、産油国と消費国の主導権争いにつながる懸念も出ている。

 日本の石油備蓄放出は6回目となるが、価格抑制を目的とするのは初めてのことだ。過去のケースをみると、放出による価格抑制効果があるとはかぎらない。

 2011年6月にはリビア情勢悪化を受け、国際エネルギー機関(IEA)が日本を含む加盟国の戦略石油備蓄放出を決定。当時、ニューヨーク原油先物相場の指標となる米国産標準油種(WTI)は1バレル=95ドル台の高値圏にあり、発表を受けて一時90ドルを割り込んだものの、じわじわと値を戻し、約1週間後には決定前の水準に逆戻りした。

 日本総合研究所の松田健太郎副主任研究員は、今回の日米などによる石油備蓄の協調放出による相場への影響について「23日の(欧米の原油相場の)値動きをみても、米国の発表を受けて買いが進んだ。想定の範囲内に収まったということだろう。価格抑制効果は薄いのではないか」とみる。

 こうした中、米ブルームバーグ通信は23日、日米など各国が石油備蓄を協調放出した場合、OPECプラスが生産を抑制する可能性があるとの関係者の話を報じた。主要産油国は、新型コロナウイルスの感染再拡大で原油需要が下振れするリスクへの警戒感が根強いのに加え、歳入の多くを原油の販売から得ているため適度の高値を維持したいという本音がうかがえる。

 OPECプラスは12月2日に次回の閣僚級会合を開くが、主要産油国の出方が注目される。今回の日米などによる石油備蓄の協調放出に対抗する形で、今年7月に決めた毎月日量40万バレルずつの減産縮小(事実上の増産)という現行の増産計画を見直して供給を減らすようなら、協調放出の効果は減殺される。産油国と消費国の間で、原油市場の主導権をめぐる対立に発展しかねない恐れをはらむ。(森田晶宏)

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