マイナス金利、日銀決定会合で問題点の指摘相次ぐ 異例の政府注文も

2016.5.9 10:57

 日銀は9日、3月14~15日開催の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。2月に導入した「マイナス金利政策」について、何人かの委員が「足元では負の影響が現れている」との認識を示し、政府出席者からは、分かりやすく発信するよう異例の注文がついた。

 会合では、大多数の委員は金利面での効果は既に現れているとの認識を共有。具体的には、「住宅ローンの金利低下が住宅投資を刺激するほか、借り換えを通じて債務者の金利負担を軽減し、消費にもプラスに働く」との声があった。

 これに対し、マイナス金利に懐疑的な何人かの委員は、金融機関や預金者の不安を招いた▽金融市場の不安定化に拍車をかけた▽国内の投資対象資産が限られる中、期待したポートフォリオ・リバランス(資産構成の見直し)効果につながっていない-などと指摘した。

 また、議決権のないオブザーバーとして出席している内閣府の出席者は、マイナス金利は分かりにくい面もあると指摘した上で、「日銀として分かりやすく発信し、効果が十分発現するよう取り組んでいただきたい」と注文した。政府関係者が、日銀の情報発信のあり方に口を出すのは異例だ。

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