物価目標引き下げも選択肢に 浜田参与、日銀の政策運営で見解

2017.4.5 05:00

 日銀が物価上昇率2%を目指し、2013年に「異次元」と呼ばれる大規模な金融緩和に踏み切って4日で4年を迎えた。安倍晋三首相の経済ブレーンである浜田宏一内閣官房参与(81)=米エール大名誉教授=は4日までに共同通信のインタビューに応じ、雇用が改善しているのならば2%に固執せず、物価目標の引き下げも選択肢になり得るとの見解を示した。

 黒田東彦総裁が率いる日銀は、デフレ経済からの脱却に向けて大量に国債を買い入れることで世の中に供給するお金を増やし、物価目標の達成を目指してきた。しかし、消費者の根強い節約志向や賃金の伸び悩みが響き、4年が経過しても目標達成は見通せていない。

 浜田氏は、物価目標について「雇用や生産を活発にするための中間的な目標にすぎない」と指摘。原油価格の下落といった海外の要因で物価がなかなか上がらない場合は、目標を2%から引き下げても日銀の政策運営に支障はないとの考えを明らかにした。

 同時に「企業収益が好調で、人々に仕事があれば物価が上がらない生活の方がよい」と利点に言及。サービス分野の一部で人手不足が広がっていることに関して「経済がデフレ体質からインフレ体質に変わる、かすかな兆しかもしれない」と話した。

 黒田総裁による4年間の政策運営に関しては、企業収益や雇用環境が良好で、国の税収も増えたとして「合格点だ」と評価した。来年4月が任期の黒田総裁の後任人事をめぐっては「金融政策が大規模緩和を導入する以前に戻ることは考えられない」とし、黒田路線の継承が望ましいとした。

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