和歌山太地町、フェロー諸島と姉妹都市に 圧力「もはや看過できないレベル」捕鯨継続に反転攻勢

2017.8.9 17:48

 捕鯨や伝統的なイルカ追い込み漁を続ける和歌山県太地(たいじ)町が、同じく漁を行っているデンマークの自治領、フェロー諸島・クラクスビークと、友好関係を確立するため、近く姉妹都市提携を締結することが8日、関係者への取材で分かった。8月下旬にも締結する見通し。反捕鯨団体「シー・シェパード」などの圧力が高まる中、連携して国際社会に漁の正当性などを訴え、対抗策とするねらいがあるとみられる。

 関係者によると、両自治体は、ともに食糧や資源に乏しく、それぞれ古来より鯨類を含む海洋生物資源に依存してきた共通点があり、現在、鯨類の追い込み漁を行っているのはこの両都市だけだという。

 ただ、近年は、反捕鯨団体の圧力が高まり、太地町では追い込み漁が行われる9月から翌2月ごろにかけ活動家が滞在。カメラを手に漁師らをつけ回す妨害活動のほか、関係機関への嫌がらせやサイバー攻撃も激化している。

 フェロー諸島でも漁の妨害活動が続けられ、一部の活動家が逮捕されるなどしている。太地町の漁業関係者は「このままでは互いに伝統文化が消滅してしまう」と危機感を抱いている。

 こうした現状を打破しようと、太地町はフェロー諸島のクラクスビークとの連携を模索。三軒一高町長が今月下旬に水産庁の職員らとともにフェロー諸島を訪れ「伝統的追い込み漁業姉妹提携協定書」を取り交わす方針を固めたという。

 今後、両自治体は、追い込み漁をはじめとした海洋生物資源の利用促進のほか、観光、文化、教育など幅広い分野で密接な交流を図り、漁の正当性を訴えるなどして反捕鯨団体との対抗策でも連携する見通し。

 三軒町長は「反捕鯨団体の圧力は、もはや看過できないレベルまで達している。両町の友好関係を結ぶだけではなく、同じ捕鯨とともに生きてきた町として漁の正当性を国際社会にアピールしていきたい」としている。

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