茨城県が12保健所再編を検討 6月までに意見書、所長兼務や区割り課題

2018.4.21 07:46

 茨城県は12カ所ある保健所について再編を検討し始めた。医師不足などに伴い、保健所の所長や職員の人手不足などの問題が表面化しているためだ。16日には大学教授や業界団体の代表らが出席して、再編検討懇話会が開かれた。6月までに3回の会合を開き意見書をまとめる予定だが、委員の一部からは「急すぎる」との声も相次いでいる。(鴨川一也)

 懇話会で示された問題点は▽保健所の管轄区域と「2次保健医療圏」の不一致▽中核市に移行する水戸市が独自の保健所を設置することへの対応-など。

 地域保健法によると、保健所の管轄区域は2次保健医療圏とおおむね一致するよう定められているが、県内の一部地域では不一致が生じている。

 例えば4市町を管轄している常総保健所では、常総市はつくば保健医療圏、坂東市は古河・坂東保健医療圏、下妻市と八千代町は筑西・下妻保健医療圏に属し、同保健所が管轄する自治体は3つの2次保健医療圏に分かれている。

 職員の人手不足も深刻だ。特に保健所長は昨年度一時的に6カ所で空席となり、他の所長が兼務するなど厳しい状態が恒常化している。人口10万人当たりの医師数が全国ワースト2位と慢性的な医師不足で、所長になる人材をいかに確保するかが課題となっている。

 保健所の常勤職員も定員の適正化や業務の見直しを進めた結果、平成19年度の327人から28年度には283人となり10年間で約13%減少している。

 また、水戸市は32年に中核市へ移行し、独自に保健所を設ける意向を示している。同市を除くと、現在の水戸保健所が管轄している5市町の人口は約19万7千人と現在の約4割に激減。周辺の保健所と管轄区域を変更するなど、水戸保健所のあり方の検討も急務になっている。

 課題が山積する中、業界団体の委員らからは「保健所ごとに団体の支部があり、区域が変わると運営に支障がでる」「まずは所長不足を解決しないと施設集約も難しい」など厳しい意見も。「市町村にも意見を聞いて、丁寧に進めてほしい」など県側に慎重な対応を求める意見も多かった。

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