米中、報復の応酬激化も 相互に制裁関税 来月6日第1弾発動

2018.6.18 06:13

 中国政府は16日、米国から輸入する自動車など659品目、年間約500億ドル(約5兆5000億円)分を対象に、25%の追加関税を課すと発表した。トランプ米政権が15日に、知的財産権侵害を理由として、約500億ドル分、1102品目の中国製品に25%の制裁関税を課すと発表したことへの対抗措置。報復の応酬が激化する恐れがある。貿易が停滞し世界経済に悪影響を与える懸念が強まっている。

 米中はそれぞれ、7月6日に第1弾として約340億ドル分を対象に関税を発動する。トランプ大統領は「中国が報復した場合、制裁関税を課す中国製品の対象を拡大する」としている。これに対して中国は「相応の措置を取る権利を持っている」との声明を発表した。

 米国が7月6日に対象とするのは、自動車や情報通信技術関連の製品、ロボット、産業機械などの818品目。中国が今後成長を期待するハイテク分野の製品が含まれる。一方中国は、自動車や農産品、水産品など545品目が対象だ。米国の主要輸出品である大豆や牛肉に加え、米企業が中国での売り込みを目指す電気自動車が含まれる。

 両国とも、残りの品目への制裁については今後検討して決める。

 16日付の中国共産党機関紙、人民日報は米国の対中制裁を「貿易戦争を引き起こした。世界の貿易秩序を壊すものだ」と強く非難した。党・政府系メディアではこれまで米中対話の重要性を説く論調も目立っていたが対決姿勢を鮮明にした。

 中国の王毅国務委員兼外相は14日、北京を訪問したポンペオ米国務長官と会談し、米国が対中制裁を発動しないよう、牽制(けんせい)していた。トランプ大統領がこだわる米貿易赤字の削減に向け、輸入拡大といった譲歩も示してきただけに米国の制裁発表に怒りを募らせているとみられる。

 トランプ政権は12日に米朝首脳会談を実現させ、中国との間で朝鮮半島問題解決に向けた主導権争いにもなっている。米中関係は複雑化しており、貿易摩擦解消への道筋が見えなくなっている。(北京 共同)

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