【トップは語る】金融庁 地銀検査、適切な経営判断を注視

2018.9.15 06:02

 □金融庁長官・遠藤俊英さん(59)

 --地方銀行は日銀の金融緩和政策の長期化や、人口構造の変化で収益体質の維持が課題になっている

 「貸し出し中心のビジネスモデルは厳しい。基本的には経営の話だが、判断は適切に行ってもらい、課題を先送りすることなく、持続可能なビジネスモデルを確立することができるかが重要な課題だ。検査の中で個別の話を、これは駄目、あれは駄目ではなく、経営判断が適切に行われているかということに関してみていきたい」

 --経営判断で効率化を進める中、店舗を閉鎖したら町が怒って預金を全額解約したケースもあった

 「住民を本気になって説得しないからだ。赤字をたれ流す店舗をそこに置いておくのが、地元や銀行にとって良いことなのか。そんなことは絶対ない。頭取とか専務が、きちんと実情を話し、経費削減の戦略を実現していくべきだ。そうした取り組みができている銀行に、できない銀行は、なぜできないかを聞くと『やる気がないから』と答える。頭取が自ら動くべきだ」

 --地銀人事で旧大蔵省OBの退任が相次いだ。異常なことと捉えていたのか

 「役人の仕事はビジネスではない。旧大蔵省、財務省出身の人間が、金融機関のトップになって、この難しいときにうまく運営できるのかと問われれば、個人的には(できる人は)相当、才能に恵まれた人だなというふうに思う」

 --遠藤長官も旧大蔵省の採用だ。OBへのそうした見方は自分で自分の首を絞めることになるのでは

 「役人も、辞めてからは自分で職を探さないといけない時代だ。その職に求められる知見、経験もない人が、地域で非常に重要な役割を果たす銀行のトップになったならば、それは本人にとっても、地域の人にとっても困る。だから、それは世の流れとして仕方ない」

【プロフィル】遠藤俊英

 えんどう・としひで 東大卒。1982年大蔵省(現財務省)。金融庁検査局長、監督局長を経て、2018年7月から現職。山梨県出身。

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