GDPプラス成長復帰も先行き楽観できず 米中摩擦が重し

2019.2.14 12:43

 14日に発表された平成30年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比1・4%増と2四半期ぶりのプラス成長となったが、自然災害が続発した7~9月期の2・5%減からの持ち直しは鈍い。中国経済の減速を背景にした輸出の伸び悩みの影響が大きく、先行きでも米中貿易摩擦の動向が重しとなっており、楽観できない状況が当面続きそうだ。

 今回のプラス成長を牽引(けんいん)したのは個人消費や設備投資といった内需。名目雇用者報酬が0・7%増と7四半期連続の増加となるなど雇用・所得環境の堅調さを反映し、耐久財の消費が好調だったほか、人手不足を背景にした企業の投資意欲も底堅かった。

 一方の外需は懸念材料が多い。外需に算入されるインバウンド(訪日外国人客)消費は10~12月期に持ち直したものの、中国向けスマートフォン部品などの輸出は振るわず。大手百貨店5社では各社とも今年1月の免税品の売り上げが前年割れしており、1~3月期の不安材料となりそうだ。

 農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「世界経済の持ち直しは継続しているものの、減速しつつあることは否めず、貿易数量も伸び悩みつつある」と分析する。

 こうした海外経済の後退観測を受け、設備投資の見直しを検討する動きも出てきた。三菱自動車の益子修会長兼最高経営責任者(CEO)は「持続可能な形で収益を着実に上げることに重点を置く。そういう姿勢で投資も考える」と強調する。

 日本経済の先行きは米中貿易協議の行方がカギを握る。茂木敏充経済再生担当相は14日の記者会見で「米中の通商交渉や英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)など近々見通しが分かってくるものもあるので注視をしたい」と厳しい表情を見せた。(桑原雄尚)

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