ジャカルタ地下鉄来月開通 一部区間15キロ、日本が支援

2019.2.26 06:26

 インドネシア初となる地下鉄を含む都市高速鉄道(MRT)の工事が、首都ジャカルタで着々と進んでいる。計画は日本が全面支援し、世界最悪とも言われる交通渋滞の緩和が期待される。3月に一部区間が開通予定で、インドネシア政府は2029年までに、公共交通機関の利用割合を10年の3倍に当たる6割に引き上げることを目標としている。

 昨年末に開かれた報道関係者向けの試乗会。日本の地下鉄と全く変わらない乗り心地で、乗車したインドネシア人記者らも興奮気味だった。建設を進めるMRTジャカルタのウィリアム社長は「MRTは人々のライフスタイルを変える契機になるだろう。日本の支援に感謝している」と語る。

 工事は13年に始まり、開通を目指すのは中心部を南北に結ぶ路線の一部区間(15.7キロ)だ。インドネシアは4月に大統領選と総選挙を控えており、3月の開通は再選を目指すジョコ大統領にとって、これまで力を入れてきたインフラ開発の「成果を示す大きな目玉」(外交筋)となる。

 国際協力機構(JICA)によると、今回の区間には日本から計約1200億円の円借款が充てられている。5.9キロの地下鉄区間と9.8キロの高架区間に分かれており、13駅を25分で結ぶ。1日の乗客数は約43万3000人と予想している。

 日本のゼネコンと地元建設会社との共同企業体(JV)などが受注し、トンネル掘削をはじめとするさまざまな日本の技術が生かされた。車両は日本車両製造(名古屋市)が納入し、日本人が運転を指導中だ。

 JICAによると、ジャカルタ特別州と周辺都市を含めた首都圏の人口は15年の約2680万人から30年に約3740万人に増加すると見込まれる。ウィリアム氏は「ジャカルタの公共交通機関が新しい時代に入る」と期待を込めた。

 JICAの担当者は「市民の期待をひしひしと感じる。(開通まで)多種多様な試験を事故なく進めていきたい」と話している。(ジャカルタ 共同)

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