RCEP閣僚会合 新たな合意分野示せず 政治判断の局面に

2019.9.10 06:10

 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に参加する日本や中国、韓国と東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国は8日、タイの首都バンコクで閣僚会合を開いた。世耕弘成経済産業相は終了後に記者会見し、新たに合意した分野がなかったことを明らかにした。参加国が公表した共同声明でも具体的な進展を示すことができず、目標とする年内妥結が実現するかどうかは不透明だ。

 世耕氏は新たな合意分野がなかったことについて「包括的な合意になってくる段階だ」と指摘し、妥結に向けて各国の政治判断が必要になるとの見方を強調。「年内妥結は十分可能との感触だ」と強気の姿勢を崩さなかった。また、韓国の代表者は日本の一連の輸出管理強化について、会合で発言しなかったことを明らかにした。

 共同声明ではRCEPの枠組みの重要性を改めて示し、年内妥結に取り組むと表明した。また「交渉を終結させるための権限を交渉官に与える」と明記。9月後半にベトナムで交渉官レベルの会合を開き、残された分野を詰める。参加国は11月にバンコクで開催予定の首脳会合での妥結を目指す。

 8月に北京で開かれた閣僚会合では約20の交渉分野のうち半数まで合意した。ただ大幅な関税削減に慎重なインドや、知的財産などで各国と立場の隔たりがある中国など未解決の課題も少なくない。

 世耕氏は今回の交渉日程でインドやシンガポール、フィリピン、オーストラリアの閣僚らと会ったが、韓国とは「RCEPで何か緊急に話し合うことはない」として会談しなかった。韓国はこれまでの国際会議で日本の輸出管理強化を批判していた。(バンコク 共同)

【用語解説】東アジア地域包括的経済連携(RCEP)

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国に加え、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの計16カ国が参加する経済連携協定(EPA)。2013年に交渉が始まり、関税の引き下げや知的財産保護などのルール作りを進める。実現すれば世界の人口の約半分、貿易額と国内総生産(GDP)のそれぞれ約3割を占める広域経済圏となる。(バンコク 共同)

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