米、EU制裁調査準備か、車関税期限切れで

2019.11.22 09:00

 【ワシントン=塩原永久】米政治サイト「ポリティコ」は21日、トランプ米政権が欧州連合(EU)に対し、制裁関税を発動するかどうかの調査開始を検討していると報じた。判断を延期していた自動車・同部品に高関税を課す措置が期限切れになったため、貿易協議でEUに圧力を加える新たな強硬策を準備する狙いがあるという。

 同サイトによると、米通商法301条に基づき、EUの不公正な貿易慣行を調査する可能性がある。これまでにトランプ政権は、同条を根拠にして中国による知的財産窃取などを「不公正」と認定し、制裁関税を発動した経緯がある。

 米政府は通商拡大法232条に基づいて、輸入車の流入が「安全保障を脅かしている」としてEUなどに高関税を課す措置を検討してきた。今月13日までの判断期限が過ぎているが、米政府は同措置の発動の是非について発表していない。

 米政府は、農業市場開放に消極的なEUとの貿易協議が停滞し、不満を強めている。新たに301条の制裁をちらつかせ、交渉を優位に進めたい考えとみられる。自動車に限定せずEUの幅広い産業について調査する可能性があるという。

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