国会休会はあり得るか 断れぬ握手…感染リスク高く 

2020.2.20 20:17

 肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染が拡大し、令和2年度予算案が審議されている国会も感染のリスクにさらされている。消費税増税や新型肺炎による日本経済への悪影響に備え、元年度補正予算に続き2年度予算の速やかな執行が求められるが、蔓延(まんえん)防止のため国会が休会となれば国政が停滞し、国民生活にも影響しかねない。

 大震災時には「自然休会」

 参院のベテラン議員は「休会の動きは今のところはない」と説明するが、国会法15条は休会について「両議院一致の議決を必要とする」と規定する。過去に衆参両院がともに議決を伴って休会したケースは4回あるが、新内閣の準備などが理由で災害対応や感染症予防に伴うものはない。

 ただ、両院の議決を必要としない「自然休会」はある。平成23年の東日本大震災発生時には当時の衆参両議長が国会を当面「自然休会」とすることで合意、被災地への対応にあたった。

 マイナス成長、急がれる予算成立

 17日に発表された昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は1年3カ月ぶりにマイナスに転じ、国内経済の下振れが懸念される中、予定通り予算を執行するため早期の予算成立が求められている。

 憲法の規定で予算案は衆院通過後、参院に送付されてから30日で自然成立するため、3月2日までに衆院を通過すれば今年度内の成立が確実となる。しかし、衆院通過後に議決を伴う休会となると、成立が年度をまたぐ恐れがある。休会の期間が30日に算入されず、自然成立が不可能となるからだ。自然休会には法的な定義がなく、期間中も「国会開会中」とみなされるため自然成立は認められる。

 重症化懸念される高齢議員多く

 また、政治家は地元の活動で不特定多数の人と握手するなど濃厚接触する機会が多い。現職国会議員の平均年齢も衆院で57・4歳、参院で56・7歳と、感染した場合、重症化が懸念される高齢議員も少なくない。法案採決などを行う本会議には多数の議員(衆院464人、参院245人)が議場に集まり、感染リスクは高まる。

 与党幹部は「積極的な握手などは控えているが、支援者から手を出されたら断れない」と本音を明かす。

 日大法学部の岩井奉信教授(政治学)は「非常に高い致死率になった場合、世間に集会などの自粛を求める延長上で、国会の休会もやむを得ない。緊急性のある法案以外は、次の臨時国会に先延ばしするなど措置は取れる」と語った。

 (今仲信博)

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