eスポーツ拡大へ環境整備 経産省 経済効果3000億円目指す

2020.3.24 05:00

 経済産業省は、コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」の国内市場の成長支援に本格的に乗り出した。2025年に3000億円程度の経済効果創出を目標に設定し、官民が協力して法制度などの環境を整備する。ゲーム以外の産業にも経済効果を波及させ、地方活性化や障害者の社会参画につなげたい考えだ。

 従来、個人間で楽しまれていたゲームは現在、競技大会が開かれ、選手や観客も増えて一大娯楽産業になった。世界全体のeスポーツ市場規模は19年で約1000億円とされ、特に欧米や中国で大きい。日本市場は19年は約60億円にとどまるが、23年には約150億円に上ると予想される。

 ただ、新しい分野のため、大会や施設運営のノウハウや環境が十分整備されておらず、法律などに詳しい人材も業界に少ないのが実情だ。経産省は業界団体と検討会を設置し、法的なトラブルを避けるためゲームの使用許諾や大会運営などについて指針策定を検討する。国際的なルール作り、バリアフリーの観点なども盛り込む。

 経済効果創出については、大会の興行収入や広告料、配信料といった直接的な収入に加え、関連機器の製造や飲食業、宿泊・観光施設などにも波及させ、周辺市場を含め25年に少なくとも2850億円を目指す。

 eスポーツは地方が大会を誘致したり参加者を呼び込んだりすることで、地域活性化も期待される。埼玉県では、高齢者のコミュニティーづくりや認知機能低下予防の観点から中高年層の参加を促す団体が発足。障害者用に設計されたコントローラー開発も進んでおり、群馬県高崎市では昨年、障害者向けの大会が開催された。

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【用語解説】eスポーツ

 エレクトロニック・スポーツの略。パソコンや家庭用ゲーム機を使って対戦する競技で、サッカーや格闘技など種目は幅広い。欧米や韓国で広まり、賞金で生計を立てるプロも生まれている。中国の杭州で開かれる2022年のアジア大会で正式競技になることが決まり、五輪で採用も検討される。スポーツとしての取り扱いへの異論や、依存症対策などの課題もある。

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