五輪コロナ対策の政府案が判明 大きな「負担」がホストタウンの自治体に

2020.9.20 08:45

 外国人選手らに度重なる検査を要請するなど東京五輪・パラリンピックの新型コロナウイルス対策の政府案が15日、分かった。大会開催に感染防止の徹底が欠かせず、事前キャンプ地やホストタウンとして選手らを迎える自治体にも「受け入れマニュアル」の作成が求められる。移送手段の確保や練習・宿泊施設の感染防止策、医療態勢の構築など課題は山積し、大きな負担がのしかかりそうだ。

 政府案によると、外国人選手らは入国後、原則、公共交通機関を使わず、バスなどの専用車両で移動する。空港からキャンプ地やホストタウンに向かう場合は自治体が車両を手配し、相手国と協議の上で移動ルート計画を策定。通訳やガイド、運転手への事前検査の必要性の有無なども検討しておく必要がある。

 キャンプ地における練習では、会場の更衣室やシャワー室、トイレなどの動線の設定、消毒を含めた感染防止策が求められる。宿泊施設では部屋割りのほか、選手側とそれ以外のスペース、動線を分ける「ゾーニング」にも工夫を凝らす必要が出てくる。

 選手らには滞在先の自治体内で行動制限を求め、守るべき感染防止策を「受け入れマニュアル」で規定する。具体的には、行動範囲や利用施設を特定し、健康チェックや行動記録をフォローする。地元住民との交流においても、「三密」を避けるなど「新しい生活様式」に応じた制限を設けざるを得ない。

 医療態勢に関しては、自治体と保健所、医療機関との間で情報共有のルールを策定。感染疑い事例が出た場合の相談・受診先の確保、陽性者の入院・宿泊療養施設、搬送手段の準備などの対応方針を定める。キャンプ地やホストタウンに滞在中の選手らの検査は自治体が行うが、選手らと接触する関係者への検査需要も起きるとみられる。

 一連の新型コロナ対策を検討する調整会議では今後、観客の人数制限や事前検査などについても議論する。年内にも中間取りまとめが示され、本番前に開催されるテストイベントから適用される見込み。

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