北朝鮮が中国製ワクチンを拒否か 受け取り権利放棄

2021.9.1 14:31

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮が新型コロナウイルスワクチンの公平な分配を目指す国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」から割り当てられたワクチン297万回分の権利を放棄する意向を示したことが分かった。COVAXを主導する国連児童基金(ユニセフ)の報道官が8月31日、米政府系メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に答えた。

 世界保健機関(WHO)は8月、COVAXが北朝鮮に中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製297万回分を割り当てたと明らかにしており、北朝鮮が中国製を拒否したもようだ。

 北朝鮮保健省は、自国への割り当て分を新型コロナで深刻な影響を受けている別の国に再配分しても構わないとの意向を伝えてきたという。これに先立ち、英アストラゼネカ製約190万回分も北朝鮮に配分されたが手続きは滞っている。一方で、北朝鮮は数カ月以内にワクチンを受け取れるようCOVAXと協議を続ける姿勢も見せている。

 韓国の情報機関傘下のシンクタンクは7月、北朝鮮が副反応を懸念してアストラゼネカ製の受け取りに難色を示し、不信感から中国製の導入もためらっているとの分析を公表していた。

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