中国、COP15で途上国へ影響力発揮

2021.10.14 16:38

 【北京=三塚聖平】中国南部の雲南省昆明(こんめい)市で、国連の「生物多様性条約第15回締約国会議」(COP15)が開かれている。議長国を務める中国の習近平国家主席は同会議で、発展途上国を支援するため260億円規模の基金設立を表明。途上国支援で影響力を発揮するとともに、会議開催を通じて世界規模の問題に関する国際的な協調姿勢を内外にアピールする狙いがあるとみられる。

 習氏は12日、COP15にオンライン形式で出席し、途上国の生物多様性の保全事業を支援するために15億元(約260億円)を拠出して「昆明生物多様性基金」を立ち上げると表明。各国に拠出を呼び掛けるとともに、新型コロナウイルス禍の影響を挙げて「経済回復と環境保護という二重の課題に直面する途上国は、より一層の支援と支持が必要だ」と強調した。

 中国は「世界最大の途上国」を自称しており、途上国の利益を擁護する姿勢を見せた形だ。一方で、習氏は「われわれはグリーン国際協力を強化しなければならない」と述べ、国際協調の姿勢も示した。

 COP15では、2010年に日本で開いたCOP10で決まった「愛知目標」の後継となる30年までの生態系保全の新目標の採択を目指す。愛知目標は、20年までに少なくとも陸地の17%、海域の10%を生物保護区に指定することなどを掲げたが、完全に達成された目標はなかったとされる。

 13日には新目標の採択を確実にするとした「昆明宣言」を取りまとめたと発表した。新目標に関して「効果的な目標の採択や実施を確実にする」ことなどを盛り込んでいる。

 COP15は、オンラインと対面を併用した今月11~15日の「第1部」と、来年4~5月の「第2部」という異例の構成で開く。当初は20年に開催予定だったが、コロナ流行を受けて延期されていた。来春の第2部は対面形式で行い、新目標の採択を目指す。来年秋には習氏が異例の長期政権実現を狙う共産党大会が控えており、COP15も功績として使うとみられる。

 生物多様性条約は、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた「地球サミット」で、気候変動枠組み条約と同時に署名が行われた。そのため「双子の条約」とも言われる。

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