自民党 衆院選公約要旨

2021.10.20 15:10

 【前文】

 新型コロナウイルス感染症は私たちの暮らしを大きく変えた。着実なワクチン接種をはじめ、コロナ対策をさらに加速させ、これからの新しい時代をいかに創り出していくか。まさに正念場だ。

 新しい経済のかたちを生み出す「成長」と「分配」を柱とした政策を。少子化問題解消のために、子育てへの不安に応える抜本的な政策を。国民の生命と財産を守り抜くために、毅然(きぜん)と対応する外交を。

 信頼と共感。それこそが政治を前に進める原動力だ。国民の声をしっかりと受け止め、寄り添い、全力で挑む。新しい時代を皆さんとともに。

 【新型コロナ対策】

・希望する方全員へのワクチン接種を11月早期までに完了する

・ワクチン接種率向上のため、電子的ワクチン接種証明などを活用してインセンティブを付与する

・エビデンスに基づき、3回目の追加接種について準備を進める

・年内の経口薬普及を促進する

・海外でも活用可能な標準を満たす「電子的ワクチン接種証明」、「無料PCR検査所」の設置、「抗原検査」など在宅検査手段の普及により、経済を動かす

・司令塔機能の強化など、公衆衛生分野の危機管理能力を抜本的に強化する

・さまざまな感染症への備えとして、「国産の治療薬やワクチンの研究開発・生産体制(創薬力)の強化」を行う

・人流抑制や医療提供体制確保のための方策について、行政がより強い権限を持てるための法改正を行う

 【新しい資本主義】

・約10年後から大量廃棄が発生する初期型太陽光パネルの安全な処分ルール策定とリサイクル技術の開発に取り組む

・防衛・インテリジェンス・海上保安・警察・消防(救急含む)などを担う各機関の体制強化に取り組む

・小型衛星コンステレーションなどの衛星・ロケット新技術の開発や、政府調達を通じたベンチャー支援などにより、宇宙産業市場の倍増を目指す

・5Gの全国展開、6Gの研究開発と社会実装を推進する

・国産量子コンピューターの開発に取り組むとともに、量子暗号通信などの技術領域を支援する

・2030年度温室効果ガス46%削減、2050年カーボンニュートラル実現に向け、2兆円基金などあらゆる政策を総動員する

・究極のクリーン・エネルギーである核融合開発を国を挙げて推進し、次世代の安定供給電源の柱として実用化を目指す

・働く人が誰でも加入できる「勤労者皆保険」の実現に向けて取り組む

・看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士らの所得向上に向け、公的価格のあり方を抜本的に見直す

・表現の自由を最大限考慮しつつ、インターネット上の誹謗・中傷やフェイクニュースへの対策を推進し、人権意識向上の啓発活動を強化する

 【農林水産業】

・米については、市場隔離効果をもつ新たな特別枠を設け、収入減少に対してはナラシ対策や収入保険で対応し、その支払いまでの間は無利子融資を行う

・2025年2兆円、2030年5兆円の輸出額目標の達成に向け、輸出産地・事業者の育成、品目団体の組織化、戦略的サプライチェーンの構築、加工食品輸出に取り組む中小事業者への支援を行う

 【経済対策】

・「テレワーク拠点の整備」「空き家・公営住宅の活用」により、地方移転を希望する人材・企業・大学の受入れ環境を整える

・マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載、健康保険証としての利用や運転免許証・在留カードとの一体化、社会保障・税・災害の3分野以外への情報連携を拡大し、マイナンバー利活用を推進する

・自動宅配、リモート診療、リモート学習、自動タクシーなどのデジタルイノベーションを地方から社会実装する

・感染状況などを踏まえた観光需要喚起(Go To トラベルの早期再開など)を推進する

 【復興】

・東日本大震災の地震・津波被災地域の復興は、第2期復興・創生期間内の早期に完遂するという強い決意をもって、全力で取り組む

・福島については国が前面に立ち、2020年代をかけて、帰還希望者が全員帰還できるよう取り組む

・ALPS処理水の処分について、徹底した安全対策などによる理解醸成と、漁業者らへの支援、需要変動に備えた基金の設置など風評対策に取り組む

・福島第1原子力発電所事故の風評被害によって現在も広域に農林水産品に輸入制限措置を行っている国や地域に、制限解除の働き掛けを行う外交を強化する

 【経済安全保障】

・戦略技術・物資の特定と技術流出の防止に資する「経済安全保障推進法」を策定する

・情報を安全にやり取りできる「量子暗号通信技術」の研究開発と社会実装を促進し、「高度セキュリティ人材」を育成する

 【外交】

・「自由で開かれたインド太平洋」の一層の推進に向け、日米同盟を基軸に、豪、印、ASEAN、欧州、台湾など普遍的価値を共有するパートナーとの連携を強化する。台湾のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)加盟申請を歓迎し、WHO(世界保健機関)総会へのオブザーバー参加を応援する

・北朝鮮に対しては、首脳会談の実現など、あらゆる手段を尽くし全ての拉致被害者の即時一括帰国を求める。また、国際社会と協力して、核・ミサイルの完全な放棄を迫る

・ウイグル、チベット、モンゴル民族、香港など、人権を巡る諸問題について、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める

・日本の対外的なイメージの向上と国際的地位の向上を図るために「戦略的な対外発信」を強化するとともに、「国際機関で活躍できる人材」を育成する

 【安全保障】

・中国の急激な軍拡や力を背景とした一方的な現状変更など、激変する安全保障環境に対応するため、わが国自身の防衛力を抜本的に強化する

・尖閣諸島周辺を含むわが国の領土・領海・領空を断固として守り抜くために、中国「海警法」の施行も踏まえ、海上保安庁の体制拡充・自衛隊との連携強化に加えて、領域侵害に対処する万全の措置を講じる

・弾道ミサイルへの対処能力を進化させ、相手領域内で弾道ミサイルなどを阻止する能力の保有を含めて、抑止力を向上させる新たな取り組みを進める

・在外邦人らの保護と確実な退避を可能とするため、制度・運用の見直しを図る

・令和4年度から防衛力を大幅に強化し、新たな国家安全保障戦略・大綱・中期防衛力整備計画などを速やかに策定する

 【教育】

・10兆円規模の大学ファンドを令和4年度までに実現し、世界と伍する研究環境を構築する

・「AI教育」「リカレント教育(学び直し)」の充実、「実学重視の進学ルートの多様化」を行い、「若手研究者の処遇改善と活躍の場の確保」を進める

・道徳教育、高校新教科「公共」、体験活動の充実により、公徳心を持ち、日本の伝統文化を引き継ぎ発展させる人材を育成する

 【憲法改正】

・自民党は改正の条文イメージとして(1)自衛隊の明記(2)緊急事態対応(3)合区解消・地方公共団体(4)教育充実の4項目を提示している。国民の理解を得るため、全国各地で憲法改正の必要性について丁寧な説明を行う

・衆参両院の憲法審査会で憲法論議を深め、憲法改正原案の国会提案・発議を行い、国民投票を実施し、早期の憲法改正を実現することを目指す

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