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黒田電気の臨時株主総会 「物言う株主」活発化 東証の企業統治原則が追い風

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黒田電気の臨時株主総会 「物言う株主」活発化 東証の企業統治原則が追い風

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 それだけに今回の村上氏らのケースは、物言う株主が再び活発に動き始めたことを示す。世界的な金融緩和を背景に、ファンドなどが資金を集めやすくなったことに加え、東証の企業統治原則導入を機に、日本でも資本効率の追求や株主還元の強化に注目が集まっていることが背景にある。

 岡三証券の小川佳紀ストラテジストは「日本企業は(収益を蓄えた)内部留保が高い水準にあり、M&A(企業の合併・買収)などの成長戦略や株主還元の強化にお金を使う余地があるとみられている。物言う株主はそこに目をつけている」と指摘する。

 工作機械大手のファナックは今年4月、株主還元の強化を決めた。物言う株主として知られる米ヘッジファンド、サード・ポイントによる同社株の取得が判断要因の一つだとされる。さらにサード・ポイントがスズキの株式を取得したことも今月、判明した。

 旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントは、ヤマダ電機の株式を買い増し、7月には保有割合を14%超に高めた。2月にはソフト開発や情報処理を手がけるセゾン情報システムズに対し、会社側の賛同を得ないまま株式公開買い付け(TOB)を実施するなど、活発な動きを見せている。

 野村証券の西山賢吾シニアストラテジストは「上場企業は、自らの経営方針にどれだけ多くの株主の信任を得られるかが重要だ。普段から企業としての考え方を積極的に説明し、賛同する株主を増やす取り組みが求められる」と話している。(森田晶宏)

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