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【Bizクリニック】CSRの視点で企業防災を利益に

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【Bizクリニック】CSRの視点で企業防災を利益に

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 確かに、安全を売り物にできない企業は多いし、トップの意向が働かないとボランティア型の防災対策は実現しない。企業は投資額と、それによって低減できる被害額との費用対効果が大きければ、それなりの投資はする。しかし、災害がいつ発生するかわからないので、被害低減額を現在価値で計算すると、投資額に見合うような便益とならない。

 企業防災におけるこうした閉塞(へいそく)性を打ち破ったのが、BCPの考え方だった。とはいえBCPは、社会に奉仕し、被害の軽減と被災者の支援を行うことを意図したものではない。代替設備での業務続行、優位性のある中核事業(コアコンピタンス)に集中した防災対策、サプライチェーン確保などは、被害減少というより、被害を前提とした対策である。また、早期復旧が社会貢献になるという考えも、需要側の被害を見ていない。そこでCSRの視点が必要になってくるのである。

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【プロフィル】梶秀樹

 かじ・ひでき 東工大院修了。1985年筑波大社会工学系教授、93年国際連合地域開発センター所長を兼任、99年慶大総合政策学部教授、2007年東工大特任教授、14年から現職。工学博士、筑波大名誉教授。元東京消防庁火災予防審議会副会長。専門は都市防災学。73歳、東京都出身。

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