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東芝が東証開示基準違反 米原子力子会社の減損損失公表せず

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東芝が東証開示基準違反 米原子力子会社の減損損失公表せず

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 東芝は17日、子会社の米原子力大手ウェスチングハウス(WH)の2013年3月期の減損損失を公表しなかったことについて東京証券取引所の開示基準に違反していたと発表した。WHに関しては具体的な数字を示さずに「安定した収益を上げている」と説明してきたが、実際は開示しなければならないほどの巨額損失を計上していた。利益水増し問題発覚以降、深夜や土曜など発表が異例の日時に行われたこともあり、東芝の情報開示姿勢が改めて問われそうだ。

 東証の適時開示基準では、子会社が連結純資産の3%以上の損失を出した場合、公表の必要がある。東芝によると、13年3月期に損失計上した約9億3000万ドルは当時のレートで約762億円で、開示義務があった。東芝は「適時適切に開示すべきだった。おわびしたい」としている。これまではドルベースでしか明らかにしていなかったが、14年3月期と合わせたWHの減損損失額は当時のレートで計1156億円だという。

 東京電力福島第1原発事故で新規建設が減ったことから、市場関係者は、東芝が06年に買収したWHの収益悪化懸念を指摘してきた。しかし東芝はことあるごとにこれを否定。田中久雄社長(当時)が辞任を表明し、利益水増し問題からの再建に踏み出したはずの7月の会見でも「損益の8割以上が保守や燃料の交換。収益は安定的だ」と説明していた。今月7日の15年9月中間決算会見で、WHで減損損失が出たことを明らかにしたが、金額は公表しなかった。

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