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【クールジャパンの匠たち】感性に訴える超高密度生地を開発

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【クールジャパンの匠たち】感性に訴える超高密度生地を開発

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 機能性を示すスペックではなく、極められた感性で世界を動かす。限りなく細い合成繊維の糸が丹精を尽くしたまなざしに見守られ、最先端の技術を駆使して超高密度の生地に織り上げられる。身に着けていることさえ忘れさせるような薄さ、軽さなどを実現し、しなやかで強く、美しく、ニュアンスに富んだ風合いが心を躍らせる。世界のトップメゾンが大いなるインスピレーションをかき立て、最高峰のスポーツブランドが自らの限界を刷新する、ものづくりの原動力となってきた。

 「合成繊維の高密度織物をつくり続け、その土俵からは一歩も出ていません。ものづくりの基本をゆるがせにせず、新しいものを生み、新しい価値を提案して、新しい世界が開かれていく出発点でありたい。糸の選定や組み合わせ、織り方、密度、張力など、あらゆる事柄と一つ一つ地道に向き合って試行錯誤を繰り返してきました」

 ヨットのセール素材を主力製品に信頼を集め、1980年代にウインドサーフィン用生地で世界シェアの4割を占めたが、合繊織物はフィルムに取って代わられる。目覚ましい伸長を見せていたパラグライダー市場に転じると、風を通さない、裂けない、軽いと絶大な支持を得た。規模倍増の新工場を建設すると、バブル崩壊とともにパラグライダー熱が世界中で一気に沈静化した。

 「自ら糸を買い、自分でものをつくり、自分の力で売りたいと乗り出しました。撥水(はっすい)性と防風性という機能性でスポーツ衣料の世界に打って出ましたが、高いファッション性が求められました」

 産業資材としての織物製造が常道とされ、ほぼ100%受注からの挑戦だった。24時間稼働の大前提を撤廃し、最新技術と職人的な手元の融合に努めた。96年にコーディングやラミネーティングなど表面加工をしないポリエステルの高密度織物を独自開発し、世界に飛び出した。

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  • 高密度織物の限界を超えた製品を次々と開発し、世界のトップブランドを魅了する

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