てるみくらぶ破産で“破綻予備軍”今後表面化も 苦しい旅行業、金融機関も突き放す
更新調査会社の東京商工リサーチによると、旅行業の倒産件数は近年減少傾向にあるが、昨年も倒産ゼロの月はなく、平均負債額は7年ぶりに1億4000万円台に乗った。ネットの普及で旅行者が自分で旅館や格安航空券を手配できる中、大手は増加する訪日客向けツアーなどで収益を伸ばせる。だが、ネットで格安ツアーを販売する中小事業者は差別化ができず、価格競争を余儀なくされている。
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「航空会社が大型機から中小型機の運航にシフトし、格安チケットを入手しづらくなった」(同社情報部)ことも、格安ツアーを売りとする中小事業者の収益悪化につながっている。日本旅行業協会の調べでは、従業員数500人以下の旅行業者の粗利率は500人を超える業者と1%前後の開きが出ている。
金融機関も旅行業界における収益構造の脆弱(ぜいじゃく)さに警戒感を強めている。
ある事業者のメインバンクは「旅行業態は低価格でお客さんを引っ張り続けなければならないため、一度でも赤字になると自転車操業に陥りやすい」と分析した上で、「限界が来た業者に対し、返済の繰り延べや追加融資には応じられないだろう」と突き放す。“破綻予備軍”の存在が今後表面化する可能性を示唆する。
