日産の国内販売の救世主 “あり合わせ”のノートe-POWERがヒットした4つの理由
配信元:ITmedia ビジネスオンライン 更新なぜそうなったのか? その理由を説明するには、日産が社運を賭けて取り組んだ電気自動車リーフの話から始めなくてはならない。
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日産はリーフを「スマートグリッド構想」に則ったクルマとしてリリースした。それは単純に自動車としての機能だけでなく、社会インフラの一部に組み込まれた新しい自動車の姿だった。原子力発電は一度炉を稼働させれば、そう簡単に出力を変えられない。昼間の電力需要のピークに合わせれば、当然夜間は余る。しかし電気は原則的に貯めておくことができない。この夜間の余剰電力を電気自動車のバッテリーに蓄え、日中はその電力で走行したり、週末しか使わないクルマならば、家庭の電力をまかなったり、あるいはこれを売電することができる。
こうしたスマートグリッド構想が稼働すれば、電力会社は、ピークに合わせて新規に発電所を建設したり、場合によっては老朽化した原子炉を更新せず、廃炉にするだけで済むことになる。この構想は非常によくできていて、日産側は走行用バッテリーの処分問題も解決できるスキームになっていた。電気自動車のバッテリーは劣化すると航続距離が落ちてしまう。それでは困るので定期的に交換するのだが、このバッテリーは実はクルマのような運用でなければまだまだ使えるので、中古のバッテリーをリユースして、電力会社に蓄電設備を供給する研究が行われていたのだ。
つまり電気自動車とスマートグリッド、さらに中古電池が電力需要のアイドルタイムを画期的に削減し、インフラ電力に大いなる貢献をする。それはもしかしたら電力料金が変わるほどのインパクトがあったかもしれない。そうした国家レベルの大きな動きの中で、リーフは恐らくさまざまな補助制度を利用できることになっていたはずである。

