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VR、AR、MRからXRの時代へ VRベンチャーを支援・育成するTokyo VR Startupsが次期から名称を変更 第3期参加者の成果報告も実施

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VR、AR、MRからXRの時代へ VRベンチャーを支援・育成するTokyo VR Startupsが次期から名称を変更 第3期参加者の成果報告も実施

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 VR(仮想現実)元年と言われて1年あまり。VRだけでなくAR(拡張現実)やMR(複合現実)といった関連する技術を取り入れたサービスや娯楽が増え、ジャンルとしての広がりを見せ始めている。スマートフォンアプリのgumi(東京都新宿区)を率いる國光宏尚社長が代表を務め、将来性を持ったVRの企画を募り開発資金や環境などを支援してきたインキュベーションプログラム「Tokyo VR Startups」では、2018年に実施する第4期で名称を「Tokyo XR Startups」へと変更。VR、AR、MRを含んだものとして内外で使われ始めている“XR”という言葉を押し出し、現実を超える体験をもたらしてくれる発想や企画を募ってジャンルの一段の発展をサポートする。

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 12月7日に東京・秋葉原で開かれた「Tokyo VR Startups Demo Day」は、第3期のインキュベーションプログラムに参加した企業が半年に及ぶ開発の成果を見せ、企業やファンドなどからの資金援助につながるためのイベント。この席で國光宏尚代表は、「これからはXRという言い方が総称として一般的になっていく」と指摘した。「第3期参加企業も7社中3社がARのサービスだった」。VRという言葉で括った時に、こうした将来性のある新しい分野の技術を取りこぼしてしまう懸念もあって、XRへの変更に踏み切ったようだ。

 プレイステーションVRが発売され、元年と騒がれた2016年と比べて盛り上がりが収まっているといった見方がVRについて出ているが、國光代表は「プレイステーションVRが去年から倍の200万台になり、HTC ViveやOculus Riftとあわせ400万台くらいまで来て、VRの市場自体は着実に成長している」といった認識を示す。

 IT専門調査会社のIDC Japan(東京都千代田区)が12月14日に公表した、2018年の国内IT市場の主要10項目にも、ARやVRといった技術のビジネス面での利用拡大が含まれていた。この先、PCなどとの接続を必要としないスタンドアローン型のVRヘッドセットが登場したり、アップルのようにARへの注力を強める企業が出てきたりすることで、VRやAR、MRといったXR分野はさらに広がっていく可能性が強い。

 ただし「VRが本当に使えるようになるためには、適切なハードウェアとキラーコンテンツが必要」とも話した國光代表。ハードウェアに関しては価格の低下と性能の向上がしっかりと進んでいる。コンテンツについても、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の人気でNintendo Switchが急速に普及したように、1本のキラータイトルがVRの状況をガラリと変える可能性が想定される。「Tokyo XR Startups」からは、こうしたキラータイトルの登場が期待される。

 この日にプレゼンテーションが行われた第3期の参加企業からも、将来性のあるサービスや技術が披露された。ActEvolve(東京都中央区)による「BlitzFreek」は、VRで多人数がフィールドを奪い合って戦うゲームとともに、それを観戦して楽しむ人たちもいることを含めた、VR e-Sports Gameというカテゴリーの創出を狙ったもの。VR空間で対戦しているプレーヤーの視点ではなく、プレー全体をゲーム内に置かれた無数のカメラでとらえ、観戦に適したシーンを抜き出してモニターに表示し観客に見てもらう。特定キャラクターのクローズアップなども可能。野球中継でホームランを打った選手の顔がクローズアップされる感じを、VRゲームでも再現した。

 EXPVR(東京都中央区)が開発した、忍者となって街中を疾走しながら出現する敵を斬っていくアクションゲーム「BE THE HERO」も、単体のゲームとしてではなく、腕を振って走ったり壁をよじ登ったり、箒で飛んだりといったVR空間での移動方法を10種類開発し、さまざまな種類のゲームと組み合わせて提案するアイデアをアピールしていた。

 スマートフォンとARを使って新しいコミュニケーションの形を提案していたのがGraffity(東京都中央区)。スマートフォン越しに見える空間に文字や絵などを自由に落書きし、動画として保存しておけるアプリを提案していた。ターゲットはコミュニケーションに敏感な中高生の女子で、空間に文字や模様を描いたものを共有したり、誰かが行った場所に残したAR上の文字を、後で誰かが現地に立ち寄って確認したりといったコミュニケーションのツールとして利用が期待される。

 プレティア(東京都文京区)が開発しているソーシャルARアプリ「Momently」も、空間に文字やグラフィックなどを乗せたものを共有し、それを拠り所にコミュニケーションを活発化させるものだった。このほかアニメやマンガのシーンを再現できるARアプリ、全身に取り付けたセンサーが動きを読み取り、CGのキャラクターにリアルタイムに反映させてアニメーションを作るシステム、VR空間でアニメーション付きでライトノベルやマンガを読むサービスなどが並んで興味を誘っていた。ここから将来のマーケットを変えるサービスや企業が出てくる可能性もありそうだ。

 第1期のインキュベーションプログラムに参加していたハシラス(東京都千代田区)も、12月6日から8日まで東京ビッグサイトで開催されたテーマパークEXPO2017に新開発の「サッカーVR」を出展し、先行者としての活躍ぶりを見せていた。足下に置かれたボールを蹴ると、VR空間ではゴールキーパーが守っているゴールに向かってボールが飛んでいく、というもの。蹴ったボールが自動的に足下に戻って来る装置も組み込んであり、店員の手をあまりわずらわせないVRアトラクションとして、アミューズメント施設への展開を狙っている。

このニュースのフォト

  • VRゲームを観戦して楽しめるe-Sports化したActEvolveの「BlitzFreek」
  • 空間に落書きして動画で残せるGraffityのARアプリ
  • ハシラスのサッカーVR

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