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【eco最前線を聞く】回生電力使用バス、東京五輪でPR

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【eco最前線を聞く】回生電力使用バス、東京五輪でPR

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 住友商事はさいたま市などと共同で今秋にも、電車がブレーキをかけたときに生まれる「回生電力」をエネルギー源として活用する「ゼロエミッション電動バス」の実証試験に乗り出す。ディーゼルエンジンではなく、未利用だった鉄道の回生電力を使うことで、二酸化炭素(CO2)を全く出さない電動バスの実現に挑戦する。住友商事の交通・輸送インフラ事業部の根本義直機材開発課長に東京五輪・パラリンピック開催をにらんだ2020年春の事業化に向けた抱負と課題を聞いた。

 --具体的な実証試験は

 「次世代蓄電池にためた回生電力を、パンタグラフ接触式の超急速充電器で電動バスに充電し、バスを運行する仕組みだ。埼玉高速鉄道の浦和美園駅に蓄電池や変電設備を設け、JRさいたま新都心駅を結ぶ電動バスに、5分以内で充電する」

 ◆さいたまで会場間輸送

 「東京五輪では浦和美園駅近くのサッカー会場、埼玉スタジアムと、さいたま新都心駅近くのバスケットボール会場の、さいたまスーパーアリーナが使われる。この2つの区間は直線では約11キロの距離だが、今は鉄道など公共交通機関がない。五輪期間中にはこの区間の観光客や関係者の利用増が見込まれており、世界に向けて環境にやさしい交通システムをPRしていきたい」

 --実証試験のきっかけは

 「ブレーキをかけたときに、モーターが逆回転し発電機として作用させることで発生する回生電力は、これまでもブレーキをかける電車から、近くで加速しようとする電車に、架線を通じて送られていた。だが、大容量の蓄電がネックで大半は未利用だった。そんな中で、東大発ベンチャーのエクセルギー・パワー・システムズの次世代蓄電池を使えないかというアイデアが持ち上がり、1年ほど前に構想がまとまった。技術の自信はあったが、誰もやったことがないプロジェクト。それだけに客観的に実用化できるかを探るために環境省のCO2排出削減のための実証試験に応募しようと動き出した。ちょうどその頃、さいたま市が、東京五輪に向け、会場間の移動に電動バスの導入を計画しており、思惑が一致した。昨夏に環境省の実証試験に採択されたのが転機になった」

 ◆次世代蓄電池技術で弾み

 --技術の鍵になるのは

 「次世代蓄電池だ。リチウムイオン電池は大電流を一度に蓄電しようとすると、温度が上がりやすいのが欠点で、急激な電流の変化を受けないようにリミッターを付けている。その点、次世代蓄電池は回生電力で生まれる、電気を全量回収できる。エクセルギーや課題解決を共同で探る早稲田大学アカデミックソリューションなど事業者をまとめ、総合商社の機能を生かせたと思う。欧州や中国に比べ、普及が遅れている日本の電動バスの本格展開に弾みをつけ、CO2削減に貢献していきたい」

 --ビジネスモデルと課題は

 「収益モデルをどう作り込むかも実証試験のテーマだが、基本的には鉄道会社から余剰の電力を仕入れて、電動バスに供給する。設備やシステムそのものを鉄道会社に販売したり、使用量に応じてリースする仕組みを検討している。鉄道につなぐシステムなので、安全第一で、基準に合った機器が必要になるため、最初はシステムのコストがどうしても高くなる。安全対策を十分考慮した上で改良していきたい。鉄道事業法の管轄する鉄道事業と、同じ国土交通省が管轄するバス事業、一方で設置する予定のパンタグラフ接触式の充電装置は、経済産業省の管轄で、必要な手続きを進めたい」

 --今後の展開は

 「日本の鉄道の架線を通る電気は、新幹線を除き、大都市圏などは電圧1500ボルトの直流が多い。一方、日本の充電方式のCHAdeMO(チャデモ)に合わせ、今回は電圧の調整装置を付け、500ボルト以下に降圧して充電する仕組みだ。まず同じ電圧の国内の鉄道会社への採用を開拓し、将来的には海外でもシステム展開できないか検討している」(上原すみ子)

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【プロフィル】根本義直

 ねもと・よしなお 北大経卒。1993年住友商事入社。輸送機プロジェクト部、ベネルクス住友商事(ベルギー駐在)、交通・輸送インフラ事業部などを経て、2015年から現職。48歳。茨城県出身。

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