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【高論卓説】東京・足立の「定年がない会社」

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【高論卓説】東京・足立の「定年がない会社」

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 ■熟練の技を重用、最高齢社員は90歳

 9年ぶりに企業の倒産件数が増加した。その主な原因は人手不足だそうだ。今さらですか、と言わざるを得ない。そんなことは昔から分かっていたことだ。過去の出生率を見れば未来の働き手の数は分かる。単に国も企業も何も対策を講じてこなかったというだけの話。

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 皮肉なことに労働力不足が叫ばれている一方、他方では働く気力も体力もあるのに職のない高齢者があふれている。働き方改革も悪くないが、このミスマッチにもっと目を向けるべきではないか。

 東京都足立区に独自の働き方ルールを定め、全従業員の3分の1が60歳以上、90歳の正社員も現役で毎日元気に働いている会社、横引シャッターがある。定年もない。市川慎次郎社長によれば、昔は定年制があったが今まで途中で辞めた人はいても定年で辞めた人はいないという。創業48年、グループで100人の社員を抱える中堅企業の話である。

 定年どころか60歳を過ぎてから昇給するケースも少なくないという。市川社長は「当然でしょう。うちではその人の能力と仕事の成果によって賃金を払っているので、責任範囲が増えたり技能が向上したりして生産性が上がれば当然賃金も上がります。年齢は一切関係ありません。もちろん、その反対もありますが」と話す。

 同社が高齢者を雇うと聞いて勘違いして応募してくる大企業からの定年退職者も時々現れるという。ただ元大企業組は主だった専門性もなく、元部長だ、元支店長だと役に立たない昔の肩書ばかりを吹聴するからほとんど長続きしないと言う。

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