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【トップは語る】企業福祉・共済総合研究所 福利厚生充実にデフレ脱却不可欠

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【トップは語る】企業福祉・共済総合研究所 福利厚生充実にデフレ脱却不可欠

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 □企業福祉・共済総合研究所理事長 黒田忠利さん(65)

<< 下に続く >>

 --企業が再び福利厚生制度の拡充に動いている

 「大きなターニングポイントになったのは、2011年の東日本大震災と捉えている。企業の福利厚生はバブル期に手厚かったが、その崩壊とともにコスト削減が優先されて下火となり、その後のリーマン・ショックもあって縮小傾向を余儀なくされた。だが、大震災が起きて相互扶助の考え方が芽生えた。企業もCSR(企業の社会的責任)の一環として、福利厚生を一斉に見直し始めた」

 --若い世代の福利厚生の受け止め方も変わってきた

 「以前の学生は就職にあたって福利厚生を気にかけていなかったが、今は給与に加えて福利厚生の充実を入社の大きなポイントとして考えるようになった。採用の現場では、転職を繰り返してキャリアを積み重ねることよりも、一つの企業に長く勤めたいという考えも増えている。こうしたニーズに応えようと、企業が福利厚生を見直している部分も大きい」

 --今の福利厚生のトレンドは

 「保養所などのハード中心からソフト、サービスに軸足が移っている。特に今、焦点になっているのがヘルスケアや、育児、介護などでも就業を継続できる制度などワークライフバランス(仕事と家庭の両立)の施策といっていい。福利厚生が充実しているということは、とりも直さずワークライフバランスが企業に根付き具体的に実行されていることと、イコールだと考えている」

 --福利厚生が再び後退する恐れは

 「企業がコスト削減に走ったのはデフレが原因だった。景気は循環するので不景気の場面も訪れるが、デフレから脱却すれば、以前のような大きなダメージを受けずに済むとみている。現在デフレは止まったが、脱却はしていない。日本企業に福利厚生が根付くためにも、官民一体となってデフレから脱却する努力が欠かせない」

                   ◇

【プロフィル】黒田忠利

 くろだ・ただとし 一橋大社会卒。1976年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社。学校法人尚美学園を経て2011年企業福祉・共済総合研究所。理事・事業推進部長、執行理事・事務局長を経て15年6月から現職。岡山県出身。

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