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【高論卓説】「人工小脳」の衝撃 高制御機能が生産現場を革新

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【高論卓説】「人工小脳」の衝撃 高制御機能が生産現場を革新

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 人間の小脳には、約690億個の神経細胞が存在している。これは、大脳を含めた脳全体の神経細胞数の約80%である。小脳は超並列型万能予測器として機能しているとされている。大脳皮質が出力する大まかな運動指令を過去の経験に基づいて適切に調節し、身体の各パーツが同調して滑らかに動くのを助けている。

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 練習すると次第に動きが迅速にかつ滑らかになるのは、小脳が適切な運動の大きさとタイミングを記憶する過程である。視覚や聴覚からのフィードバックを基にする場合、時間遅れのために偏差や振動が発生してしまう。

 一方、小脳は過去に実現したベストパフォーマンスの動きを予測的に出力し、それを基準として「時間遅れなしのフィードバック制御」を疑似的に実現することにより、偏差や振動を補正する。ジャンプ、投球、打撃などの大きな迅速な動きを行う人間の体は、強い非線形を持っている。

 その制御を単純なフィードバックで行うと、多くの場合うまくいかない。非線形のために、一番よい方向にフィードバックが働くとは限らないのだ。小脳はその問題を克服するために生み出されたと思われる。

 人間の小脳は、チンパンジーの小脳に比べて2倍以上の神経細胞を持っている。その数の増加は、道具の使用や言語によるコミュニケーション、高度な認識機能の一部などの人間が人間になるために重要な機能を獲得するために必要だったと考えられる。

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