【株式ニューカマー】金融系プラットフォーム確立で営業支援
更新□ZUU・冨田和成社長
フィンテック関連サービスのZUU(ズー)は、個人向けにウェブサイトを運営するとともに、金融機関に対して営業支援を手掛ける。設立以来右肩上がりで成長し、6月21日、東証マザーズ市場に新規上場した。冨田和成社長は、日本最大の情報発信型金融系プラットフォームの確立を目指している。
◆顧客とのマッチング
--ウェブサイトの特徴は
「情報が不十分で金融商品の購入に踏み切れない読者に、分かりやすく有用なコンテンツ『ZUU online』(ズー・オンライン)などを提供している。難解で敬遠されがちな金融系記事を読みやすく作成し、配信することで、月間訪問者を増やし続け、現在は400万人を超えた。読者の8割は男性で、金融商品に関心が高いと思われる30~50代の働き盛りが7割超を占める。年収では半分弱が750万円以上、世帯資産では3000万円超が2割となっている」
--読者データの活用はどのように
「サイトの閲覧履歴からいつごろ、どの金融商品を購入するかといった興味・関心を分析することによって、効率的な販促や営業支援活動を可能にしている。ユーザーと金融機関の間をマッチングするような存在でありたい」
--業績の推移は
「2013年の創業以来、順調に売り上げを伸ばしてきた。18年3月期の売上高は前期比29.5%増の9億4400万円で、営業損益は17年3月期の1500万円の赤字から7100万円の黒字に転換した。とくに営業損益に関しては赤字になる年もあり安定していなかったが、仕組みを作り継続的に収益を上げるストック型ビジネスモデルなので、徐々に収益率が改善している。監査法人トーマツが日本の技術系ベンチャー企業を対象とした『日本テクノロジーFast50』の過去3決算期売上高の成長率ランキングは、16年度版が約5200%で1位、17年度版も約1150%で3位となった」
◆他業界でも取り組み
--これからの戦略は
「金融機関に限らず他の業界でも、金融への参入意欲を持つ企業のフィンテック化を支援していく。既にNTTドコモとANAグループとの取り組み実績がある。読者の勤務先は金融機関が多いため、昨年から金融系人材に特化した人材事業もスタートさせた。フィンテックが進む中で金融機関が大幅な人員削減を行なっているため、転職も加速している。手数料単価も高く早くも収益に貢献している。このほか限定コンテンツを充実させることで、会員数を増やす方向にある。時期は明確ではないが、早期に100万人を達成したい」
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【プロフィル】冨田和成
とみた・かずまさ 一橋大経済卒。在学中にソーシャル・マーケティング関連で起業。2006年野村証券入社。13年4月ZUUを設立し、現職。35歳。神奈川県出身。
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【会社概要】ZUU
▽本社=東京都目黒区青葉台3-6-28 住友不動産青葉台タワー9階
▽設立=2013年4月
▽資本金=7億9000万円(資本準備金含む)
▽従業員=52人(2018年4月末時点)
▽売上高=11億7000万円(19年3月期予想)
▽事業内容=フィンテックのプラットフォーム運営、金融機関のプラットフォーム化支援など