みずほ信託銀行は、遺産整理の代行業務の手数料を現在の半額以下に抑えたサービスを８月中旬にも開始する。ほとんどの手続きをインターネットで完結させる業界初の仕組みでコストを抑え、信託ビジネスの裾野拡大を図る。みずほ信託の飯盛徹夫社長が２６日までにフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ明らかにした。

　遺産整理の代行は信託銀行の主要業務の一つ。故人の財産の確定、目録の作成、金融資産の換金や不動産の名義変更など、複雑で多岐にわたる手続きを代行する。

　これまでは資産規模にかかわらず、担当者が対面で対応してきた。一方、新たなサービスは一部書類の郵送を除けば、ウェブで手続きでき、顧客からの相談には無料通信アプリ「ＬＩＮＥ（ライン）」で対応する。

　手数料は、対面の場合は最低１０８万円かかるため、資産規模が大きくない顧客には割高だったが、非対面の新サービスは約４０万円に引き下げる。今後は人工知能（ＡＩ）を活用し、さらに低コストで利便性の高いサービスを検討する。

　みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ信託とみずほ銀行には年間１０万人弱の死亡届が出されるが、遺産整理業務を利用するのは１％にとどまるという。ネット完結型には、信託銀行へのアクセスが難しかった地方の顧客などにもサービスを提供しやすくなる利点もあり、飯盛社長は「バーを下げることで、１０倍の方に利用してもらえる」と期待を語った。