【松本真由美の環境・エネルギーDiary】世界の専門家が語る再生エネの将来
更新柔軟性ある電力システムを
現在、電力の需給バランス管理は、火力など主要な発電設備を利用した集中エネルギーマネジメントシステムにより実施されています。しかし、再生エネ導入量が大きく拡大すると、電力システム全体の需給調整問題が発生します。太陽光や風力といった天候によって出力変動する電源が増えたり、火力発電など従来、需給調整を担っていた発電設備の運用量が減少したりすることへの対応が必要になるためです。
再生エネの普及拡大に向けた需給調整力の強化は、世界共通の課題です。電力を効率的に利用するシステム開発が不可欠と、専門家らは口をそろえます。
IEAのフランクル博士は「電力システム全体を管理する集中エネルギーマネジメントと、分散型エネルギーマネジメントが協調するシステム統合によって需給調整力を向上させることが重要だ。さまざまな再生エネの特性を組み合わせながら全体で調和させ、地域全体をネットワークでつなぎ、揚水式発電や定置式蓄電地、電気自動車(EV)のバッテリーなどのエネルギー貯蔵設備を活用し、再生エネの出力把握・予測を含めた、より柔軟な電力システム構築への投資を長期にわたって行う必要がある」と指摘しました。
日本の16年度の再生エネ電源の比率は約15%。政府は、30年度時点で22~24%程度と見通しています。
世界で加速する再生エネの低コスト化と柔軟性ある電力システムをいかに築き上げていくか。世界の潮流を見据えつつ、わが国も制度改革や環境整備を進めているところです。
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【プロフィル】松本真由美
まつもと・まゆみ 東京大学教養学部客員准教授(環境エネルギー科学特別部門)。上智大学在学中からテレビ朝日のニュース番組に出演。NHK-BS1ワールドニュースキャスターなどを務める。環境コミュニケーション、環境とエネルギーの視点から持続可能な社会のあり方を研究する傍ら、シンポジウムのコーディネーターや講演、執筆活動などを行っている。NPO法人国際環境経済研究所(IEEI)理事。



