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【ぐるなびのチョットぐな話】欧米では浸透、じわり注目「昆虫食」

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【ぐるなびのチョットぐな話】欧米では浸透、じわり注目「昆虫食」

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 栄養価の高さや食糧難の解決策として、昆虫食が注目を集めている。かつて日本でもイナゴや蜂の子が当たり前のように食されていたが、飽食の時代になるとともに影を潜めた。しかし、世界で昆虫食が見直されるようになった今、日本でもその存在に関心が集まっている。

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 昆虫食が世界で注目を集めたきっかけはいくつかある。2013年、国連食糧農業機関(FAO)が、食用昆虫の食品と飼料の安全に関する将来展望についての報告書を発表。世界の人口増加に伴う食糧問題の解決策として、昆虫食を挙げた。タンパク質や鉄分、脂質、ビタミンなどの栄養に優れているとされ、飼料転換効率が高く、温暖化ガスの排出も少ないため環境負荷も小さい。家畜よりも産業化しやすいので、途上国の雇用や収入を生むことにもつながるだろう。

 一方で、美食家の間でその“おいしさ”も注目されている。イギリスの雑誌が発表する「世界のベストレストラン50」で4度も1位を獲得したデンマークのレストラン「Noma」では、アリやコオロギを使ったメニューが出されたことが話題に。日本でも、だしやトッピングにコオロギを使った「コオロギラーメン」が、さまざまなイベントで披露され、評判となっている。

 都内に6店舗を運営する宮下企画(東京都新宿区)は、今月から昆虫食フェア「未来の食卓、昆虫料理」を、高田馬場のジビエ居酒屋「米とサーカス」、錦糸町の「米とサーカス ダービー通り店」、高田馬場のバー「あでぃくしょん」の3店舗で開催している。同フェアは、16年2、7月に続き3回目で、期間は9月30日まで。今回は、飲食店として初めて、徳島大学の「フタホシコオロギ食用化プロジェクト」で養殖されたコオロギを採用したほか、ナッツのような味といわれるセミや、洋ナシの香りといわれるタガメなど、全13種類の昆虫を9品のメニューで展開する。

 目を引いたのは、虫食いライターのムシモアゼルギリコさんが監修した「蟻の卵と蜂の子の2層ゼリー」。昆虫の姿そのものが多い中、2色のポップなゼリーは初心者でも比較的に食べやすそうだ。「上の層には、カイガラムシ由来のグレナデンシロップで着色したゼリーに蟻の卵を、下の層には蜂蜜レモンのゼリーに蜂の子を入れています。グレナデンシロップは食品の着色料や口紅にも使われるくらい身近なものです。パンチのある濃い味なので、大人の駄菓子のイメージで食べてほしい」とムシモアゼルさん。

 宮下企画の広報担当・宮下慧さんは、回を重ねるごとに昆虫食フェアの人気を実感。「メイン商品の『6種の昆虫食べ比べセット』は、最高で1日15食が出るほどの人気です。昆虫食を目当てに遠方から来店いただく方もいるほどで、参加人数も増えています。女性のなかには美容にいいと注目している人も。欧米では、健康食として認識されているみたいですよ」と教えてくれた。

 昆虫料理研究家の内山昭一さんに、欧米での人気について聞くと、「欧米で昆虫食を食べるのはグルメの人が多く、欧州では養殖も盛ん。粉末のコオロギがポテトチップスやプロテインバーに入っていたり、自宅でハンバーグのタネに使われたり、食べやすいかたちで取り入れられている。粉末にしたものはスーパーでも手に入るみたいですよ」という。

 世界では、ひと足先にスーパーフードのような盛り上がりを見せている昆虫食。日本で今後、どのような展開を見せていくか期待が高まる。

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 ■ぐるなび

 www.gnavi.co.jp

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